貧困率16%を受けての反貧困ネットワークの声明
2009年の政権交代時に反貧困ネットワークが発表した声明と、先日出した貧困率16%をうけての声明のURLをメモしておきましょう。長くなるのでここでは本文を引用しませんが、必要なことが凝縮されていますから是非ともリンク先で全文をお読み下さることをお薦めします。
・http://www.k5.dion.ne.jp/~hinky/090830seimei.html#
・http://www.labornetjp.org/news/2011/1311320466915staff01#
政権交代を受けての2009年の声明は
「私たちは、次期政権の動向を注視している。私たちが次期政権の応援団となれるような、批判勢力とならずにすむような、ビジョンの提出と諸政策の実施を期待する。」
という言葉で結ばれています。
今回の貧困率調査は2009年1~12月のデータをもとに算出されていますから、民主党政権の政策が貧困率にどのように影響を及ぼしたかはまださだかではありません。
しかし、民主党政権に対して反貧困ネットワークが「批判勢力」にならざるをえない結果がおそらく出るだろうと思います。
この結びの言葉からして、政権交代当時にすでに反貧困ネットワークは、民主党政権は反貧困の思いを裏切るであろうことを予想していたのだと、私には思えます。
貧困率16%を受けての先日の声明では、貧困率の上昇が著しいのは高校生以下の子供がいる「働き盛り」の世帯だったと述べています。当然働き盛りの親のもとで育つ子供の貧困率も上昇します。
いわゆる「働き盛り」の世代は、当たり前ですが日本経済の大黒柱です。そして子供たちは日本の未来を支える存在です。
大黒柱と未来を貧困に落とす国の先行きなど見えていますね。
子供手当てと高校無償化だけでは、高校生以下の子供を持つ世帯の貧困率を改善することは難しいでしょう。
子供手当や高校無償化はもともと低所得者層への再分配を目的とした政策ではないのですが、現時点では再分配的機能も期待せざるを得ない状況です。
しかしこれらは貧困改善には応急処置的な効果しかありません。あくまで子供がいる世帯に限られるうえ、そして子供が中学生まで、そして高校へ通うことが条件とされた給付だからです。その条件がなくなれば元の木阿弥。
貧困の根本的な対策はやはり継続的な雇用、所得の安定です。
その第一歩は簡単なことです。
大企業が現在行っているこれ以上ないくらいの労働者からの搾取をやめればいいのです。
何兆円もの内部留保をため込んでおきながら解雇する必要のない非正規社員のクビを切ることをやめて正社員として雇えばいいのです。
政府も規制緩和を元に戻す方法改正してそれを企業に義務づけるのが貧困率を下げる第一歩と認識すべきです。
そして企業は正規と非正規の賃金や労働条件の引き下げ競争をやめ、あの手この手で脱法行為をしないで労働基準法を順守することです。
つまり、あくどい守銭奴であることをやめて、雇用創出、労働基準法遵守という企業の社会的責任を果たせばいいだけのことです。大企業はこの社会的責任を果たす体力は十分あり余っているのですから、簡単でしょう?
日本には「貧すれば鈍する」「衣食足りて礼節を知る」という言葉がありますが、大企業はこの真逆をばく進しているわけで、それを恥とすべきです。
安定した雇用と賃金を保障すれば、消費は上向きになり、景気も回復に向かいます。これは長期的に見ればめぐりめぐって企業に利益となってかえってくるのですから一石二鳥です。
しかし財界はほんの3ミリ先しか見えない超ど近眼のようですね。雇用を切り捨て内部留保をため込むのは、蛸が自分の足を食べているようなものだといい加減気づくべきです。 貧困率が上昇するような国では今はウハウハ笑っていられる大企業もいずれ自分の首を締め、衰えていくのです。
くどいようですが、反貧困ネットワーク2009年政権交代時の声明のこの部分を何度でも繰り返し強調したいと思います。
「経済成長さえすれば、人々の暮らしは楽になる」――この約束は、90年代からの「雇用なき景気回復」、低下し続ける労働分配率、高騰し続ける社会保険料等々によって、事実として果たされなかった。もはや、経済成長率と暮らしの安心度数は独立した変数である。もう誰も、経済成長が十分条件であるかのような幻想には騙されない。
この期に及んでまだトリクルダウンの幻影に騙されていれば、貧困率は上昇の一途をたどるでしょう。
【秋原葉月】
[編集部より]
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