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増税論議の前に①サラリーマンはこんなに損してる―その2

前回で少し触れた「所得税の補完税」については、租税制度設計の際の技術論となります。

税制と言うのは課税対象にとって、言われの無い負担となります。したがって、課税に対して前転(大企業による仕入れ先へ負担を押し付ける)や、後転(購入者に全て押し付ける)や、租税回避(数字を操作したり誤魔化したりする)ので、必ず本来の税金を課税する際には、必ず逃げ道を想定して税金を設けます。
例えば所得税を本来の税金とすると、逃げ道としては他人にタダで譲る形にしたり、不動産や換金性の高い金や絵画などに変えたりします。そこで、贈与税や相続税や資産課税によって、適切に増加した財貨に課税出来るようにします。
法人税の場合は同族会社に対する課税の特例や、所得税を補完税として配当に対する源泉所得税や、役員に対する報酬に対する法人税の加算などになります。つまり、租税はそれぞれに綿密な関係が有り、一つの税に対して着目して対応しても公正で公平な課税は困難です。

最近は相続税や贈与税の租税特別措置による課税対象の減少や課税金額の減少により平等が破壊されるだけでなく所得税の脱税がよりやりやすくなっております。特にひどいのは中小企業に対する事業承継に関する課税の特例で日本国憲法14条を形骸化して不平等を酷くしております。
また、青色申告に関する課税の特例で、個人事業者や企業は更に課税を逃れています。
これは専従者給与の経費算入と青色申告特別控除のどちらにもあてはまります。
それは本来不要な経費算入で、立法時にバランスを取る配偶者控除がほぼ無くなったのだから、当然に即時に廃止すべきです。
そして、それらを駆使して法人や団体や個人事業主は国税庁からの所得把握を巧妙に回避しており、国税庁調査や研究報告では今や1割から5割程度の収入しか課税されておりません。これを租税回避させない制度にするだけでもって随分増収出来るのは自明です。

・所得税①

所得税とは財貨が増加した事に純粋に課税する単純な租税で、補完税としては相続税と贈与税が有ります。

日本での所得税の形態は超過累進課税と言われるもので、対象に対して所得区分(ブラケット)ごとに税率を変えて、高い所得部分程課税される体系です。

例えば、経費控除(社会保険料などの)後に年収5000万円の方が居るとすると

200万円までが無税0% ×(200万)で0円で
400万円までが10% ×(400万-200万)で20万円で
1000万円までが20% ×(1000万-400万)で120万円で
3000万円までが30% ×(3000万-1000万)で600万円で
3000万円を超える部分が40% ×(5000万-3000万)で800万円

となり単純計算の納税額が2000万円でなく
1540(0+20+120+600+800)万円になる制度を言います。
これは現在の税率とは違いますが、計算はこのような計算になります。
これをグラフにしてみるとこのようになります。

負担率


これ見ると1000万円くらいまでの人の税負担が大きいように見えます。
3000万円以上になるとそれに見合った税負担をしているように見えません。

参考として、
・所得税の税率の推移(イメージ図)
累進課税推移
・申告納税者の所得税負担率(平成19年分)
所得税負担率

のグラフをつけておきます。
申告納税者の所得税負担率(平成19年分)は
所得一億円を超えると分離課税によって下がっていること
が解ります。

これが、財政赤字と消費不況と不平等拡大の原因で自民党の大罪です。今は改正で非課税枠(以前の年収200万円以下は課税されない制度)が撤廃されました。

【完顔玲玲@呂尚】

[編集部より]
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テーマ : 税金
ジャンル : 政治・経済

増税論議の前に①サラリーマンはこんなに損してる―その1

日本の租税制度はシャウプ勧告の影響も有り、国税と基本自治体税と都道府県税とは、基本的に対象となる課税標準を異種となるようにしている。国税は財貨の移動を基本的に課税対象として、基本自治体は基本的に住む事を対象にしていて、都道府県税は基本的に財産を保持する事を対象にする。

用語
・所得税の対象となる所得とは収入から経費や各種控除を減算したモノとなる。
但し、源泉所得税は経費は無く控除で対応している。
・法人税の対象となる利益とは売上高と益金算入と損金不算入と資産から、経費と益金不算入と損金算入と負債を減算して残存した金額を云う。

法人税対象利益 = (売上高+益金算入+損金不算入+資産) - (経費+益金不算入+損金算入+負債)

・損金不算入とは、会計上は費用であるが、税法上は費用と認められないことであり、 損金不算入の費用が増加すると、課税所得が増え、納税額が増加することになり、 損金不算入の項目には、過大な役員報酬、法人税や住民税、減価償却費の 償却超過額などがあります。
・益金不算入とは、会計上は収益であるが、税法上は収益と認められない ことであり、益金不算入の収益が増加すると、課税所得が減り、納税額が 減少することになり、益金不算入の項目には、法人税・住民税の還付金等 があります。

では実際はどうかを見ていきたいと考えます。例えば、法人税の場合ですが、日本の課税方法は確定決算主義と言う、企業が勝手に計算した利益に課税する方法を採ります。また、企業の会計自体には基本的に日本の税務当局は監査しませんから、企業が会計を自由に操作して赤字の状態を作る事で免税する事も可能です。更に租税特別措置法による計上で、黒字で有りながら無税にする事も可能になっております。

税法上、法人税では課税されるのは利益に対してだけです。そして課税対象の利益は、収入に益金と損金不算入を足したモノに、損金と負債と益金不算入を控除したモノになります。

実際の法人課税対象 = (収入+益金+損金不算入) - (損金+負債+益金不算入)

したがって、租税特別措置法で損金算入や益金不算入を多量に認めれば企業決算で黒字でも課税対象利益は無い事になります。企業の決算は資産から負債を控除した額になります。また、資産自体の数字も非上場の株式などやデリバティブに関しては数字を操作する裏技が有ります。

また、中小企業で多い手口は創業者に地代や賃貸料を多数払う事で収支トントンか赤字にする事が出来ます。

一般消費税は違法な課税として配当課税への概念(法人税法23条)や、先般の生命保険に対する判決でも認められた租税原則の同一源泉二重課税禁止の原則に違反します。なぜなら、日本のサラリーマンなどは既に収入に自動的に課税されて納税しているのに、その残余分に対して更に課税するのは二重課税になるからです。勿論、自営業者などは申告課税なので所得が完全に把握されていない為に、EU型付加価値税導入をしない限りは支払うべきです。
EU型付加価値税導入は日本のようにサラリーマンに対しての源泉徴収所得税が無いから許されている部分が有ります。つまりは所得税の補完税です。

超過累進課税は所得税だけでなく、本来は法人税にも導入するべきなんですが、これは一つには担税力の有るものからは沢山取る方が数の少ない対象に厳しく課税するのは検査の効率も徴税の効率からも望ましく、租税原則の徴税費最小の原則に相応しい上に、日本国憲法14条の平等原則を実効性有るモノにするに相応しい税となります。また、売上や収入が多い個人や法人などは、それだけ契約や取引に国家の権威を沢山利用してるから、負担額が高くなるのも当然で国家権威使用料として、高額納税させるのが平等と云うモノです。
また、経済学から言えば高収入の個人や法人などは極めて消費購買率が低く、全体としての消費を下げて経済に悪影響を及ぼす事から、超過累進課税によって無駄な資本を政府に吸収させて、政府消費として出費させて消費購買率を上げて経済をよくする事も出来ます。

日本の税は消費税も所得税も含めて一度完全に再構築する必要が有ります。
因みに日本の消費税の一番ダメな点は社会保障給付の効果を減殺させる点です。

【完顔玲玲@呂尚】

[編集部より]
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