需給ギャップと高齢化社会への試み
「ムダの削減」が起死回生の一手のようにとらえられ、そればかりが喧々囂々される時期はもうすぐ終わります。
行政にムダがあることは誰もが知ることになったし、ムダを許さない空気は全体主義のごとく日本を覆いました。
公職に就く人で効率を考えない人はもういなくなったでしょう。
でも、問題はここからです。
当然ながら、ムダを撲滅したところで私達日本人が抱えた宿題は何一つ解決できていないのですから。
ここから先、どうやって私達は限られた財政状況のなか、需要不足と高齢化社会に立ち向かっていけば良いのでしょうか?
私なりに考えてみました。
需要不足を解消するには元来消費性向の高い低・中所得層が安心して消費できるよう、雇用を作らなければなりません。
かつては国債を発行し社会インフラを作っていれば完全雇用に近い状態を保つことができていましたが、経済規模に比して発行できる国債総額には限度があり、もうこれ以上はなるべく国債に頼りたくないというレベルにまで国債残高は達しています。社会インフラの整備もかなり進み、90年代末には明らかに不要なハコモノまで作らなければいけないところまで来てしまいました。
所得の循環のためとはいえ、アスファルトや鉄筋の代金は外貨で支払うのですから、これ以上不要なインフラをつくる訳にはいきません。これからは額としては小さめの補強・更新ばかりになり、インフラ作りをもって雇用先とすることは難しくなっていきます。
そこで、高齢者介護を新しい公共事業の柱とし、その財源を累進型新税の導入でまかなえるよう国民の合意形成をはかってみてはいかがでしょうか?
親や自分の将来の介護費用を心配して貯蓄に回ってしまっている所得は多いでしょうし、実際におカネが無くて介護サービスを最小限しか受けていないご老人は多いはずです。
その一方で、この不景気にも関わらず介護の現場は介護報酬の低さを原因に極度の人手不足に陥っています。
そこで、介護料金を大きく引き下げ、潜在需要を目一杯引き出した上で、介護報酬を仕事の労力に見合うだけ引き上げてしまってはどうでしょう。
元来から潜在需要の大きいサービス産業としての「介護」の需要を利用し、公共事業として扱えるだけの大きさに意図的に拡大させることで、雇用を生む。
穴を掘って埋めるだけでも、おカネを集めて配るだけでも効果があるといわれることの多い公共事業・公による再分配ですが、いかにして財源を税金として支払うことになる中・高所得層を納得させるのか?
この点でも「介護」は有効なキーワードになるはずです。
立ちはだかる高齢化という大問題を逆に利用して
「来る高齢化社会は介護産業で経済がまわる時代」
「20世紀型のモノ消費中心の経済から
21世紀型の福祉消費中心の経済へ」
と訴え、国民世論の喚起、合意形成を目指していけば、世論の風向きを個人主義的・自己完結的なものから共同体志向のものに変えていけるのではないでしょうか。
需給ギャップと高齢化、二つの問題を一挙に解決することが本当にできるのか、皆さんのご意見ご感想を伺いたいです。
【佐藤翔太】
[編集部より]
筆者の佐藤翔太さんはmixiコミュ「鍋党~再分配を重視する市民の会」のメンバーで、当ブログには2月21日付エントリ「努力ができる、とはどういうことか。」以来、2度目の登場です。記事の感想をコメント欄にお寄せください。
ブログの記事の筆者は、「再分配を重視する」という趣旨にご賛同いただける方であれば、mixiコミュの会員であるか否かは問いませんので、原稿をお待ちしております。コメント欄に非公開コメントの機能がありますので、これを利用するなどして下さい。よろしくお願いします。
行政にムダがあることは誰もが知ることになったし、ムダを許さない空気は全体主義のごとく日本を覆いました。
公職に就く人で効率を考えない人はもういなくなったでしょう。
でも、問題はここからです。
当然ながら、ムダを撲滅したところで私達日本人が抱えた宿題は何一つ解決できていないのですから。
ここから先、どうやって私達は限られた財政状況のなか、需要不足と高齢化社会に立ち向かっていけば良いのでしょうか?
私なりに考えてみました。
需要不足を解消するには元来消費性向の高い低・中所得層が安心して消費できるよう、雇用を作らなければなりません。
かつては国債を発行し社会インフラを作っていれば完全雇用に近い状態を保つことができていましたが、経済規模に比して発行できる国債総額には限度があり、もうこれ以上はなるべく国債に頼りたくないというレベルにまで国債残高は達しています。社会インフラの整備もかなり進み、90年代末には明らかに不要なハコモノまで作らなければいけないところまで来てしまいました。
所得の循環のためとはいえ、アスファルトや鉄筋の代金は外貨で支払うのですから、これ以上不要なインフラをつくる訳にはいきません。これからは額としては小さめの補強・更新ばかりになり、インフラ作りをもって雇用先とすることは難しくなっていきます。
そこで、高齢者介護を新しい公共事業の柱とし、その財源を累進型新税の導入でまかなえるよう国民の合意形成をはかってみてはいかがでしょうか?
親や自分の将来の介護費用を心配して貯蓄に回ってしまっている所得は多いでしょうし、実際におカネが無くて介護サービスを最小限しか受けていないご老人は多いはずです。
その一方で、この不景気にも関わらず介護の現場は介護報酬の低さを原因に極度の人手不足に陥っています。
そこで、介護料金を大きく引き下げ、潜在需要を目一杯引き出した上で、介護報酬を仕事の労力に見合うだけ引き上げてしまってはどうでしょう。
元来から潜在需要の大きいサービス産業としての「介護」の需要を利用し、公共事業として扱えるだけの大きさに意図的に拡大させることで、雇用を生む。
穴を掘って埋めるだけでも、おカネを集めて配るだけでも効果があるといわれることの多い公共事業・公による再分配ですが、いかにして財源を税金として支払うことになる中・高所得層を納得させるのか?
この点でも「介護」は有効なキーワードになるはずです。
立ちはだかる高齢化という大問題を逆に利用して
「来る高齢化社会は介護産業で経済がまわる時代」
「20世紀型のモノ消費中心の経済から
21世紀型の福祉消費中心の経済へ」
と訴え、国民世論の喚起、合意形成を目指していけば、世論の風向きを個人主義的・自己完結的なものから共同体志向のものに変えていけるのではないでしょうか。
需給ギャップと高齢化、二つの問題を一挙に解決することが本当にできるのか、皆さんのご意見ご感想を伺いたいです。
【佐藤翔太】
[編集部より]
筆者の佐藤翔太さんはmixiコミュ「鍋党~再分配を重視する市民の会」のメンバーで、当ブログには2月21日付エントリ「努力ができる、とはどういうことか。」以来、2度目の登場です。記事の感想をコメント欄にお寄せください。
ブログの記事の筆者は、「再分配を重視する」という趣旨にご賛同いただける方であれば、mixiコミュの会員であるか否かは問いませんので、原稿をお待ちしております。コメント欄に非公開コメントの機能がありますので、これを利用するなどして下さい。よろしくお願いします。
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テーマ : 政治・経済・時事問題
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