fc2ブログ

責任を果たそうとするアメリカの富豪とそうしようとしない日本の富豪

以前「夢をかなえるゾウ」という本がベストセラーになり、私も購入しましたが、その中で印象に残っているのは「鉄鋼王」カーネギーは若い頃から自分がその日に稼いだお金の一部を「毎日」協会に寄付していたというエピソードでした。宗教的なバックボーンの違いなのかもしれませんが、最近の日本でそのような富豪がいたかどうか思いつかなかったのがとても残念だったことを覚えています。

ノブレス・オブリージュという言葉があります。
勝谷誠彦あたりに言わせると

たとえば、イギリスの軍隊では貴族は必ず入って将校になりました。しかし、突撃のときは、真っ先に先頭を駆けなければならないんです。先に弾に当たって死ぬんです。


と適当なことをいい、上記ブログ主に思いっきり突っ込まれていますが、当然そんな意味ではありません。
信じて良いのかどうかわからないと言われるWikipediaの記載 に寄れば

ファニー・ケンブル(1809-93、イギリスの女優)が1837年に手紙に「‥確かに『貴族が義務を負う(noblesse oblige)』のならば、王族はより多くの義務を負わねばならない。」と書いたのが、この言葉が使われた最初である。倫理的な議論では、特権は、それを持たない人々への義務によって釣り合いが保たれるべきだという「モラル・エコノミー」を要約する際にしばしば用いられる。最近では主に富裕者、有名人、権力者が社会の模範となるように振る舞うべきだという社会的責任に関して用いられる。「ノブレス・オブリージュ」の核心は、貴族に自発的な無私の行動を促す明文化されない社会の心理である。それは基本的には、心理的な自負・自尊であるが、それを外形的な義務として受け止めると、社会的(そしておそらく法的な)圧力であるとも見なされる。法的な義務ではないため、これを為さなかった事による法律上の処罰はないが、社会的批判・指弾を受けることはしばしばである。


ということだそうです。
そこでこちらの記事です。

  「われわれ富裕層に増税を」 米投資家バフェット氏が提言 「2011.08.16 Tue posted at: 12:50 JST

ニューヨーク(CNNMoney) 大富豪として知られる米著名投資家のウォーレン・バフェット氏は15日付の米紙ニューヨーク・タイムズに寄せた論説で、議会に「甘やかされ」たくはないと述べ、米政府は富裕層にもっと税金を課すべきだと主張した。

バフェット氏は論説の中で「貧困、中間層がアフガニスタンで戦い、大半の米国人がやりくりに苦しんでいるというのに、われわれ超富裕層には巨額の 減税が続けられている」と指摘。自身が昨年支払った所得税、給与税などの連邦税は693万8744ドルで「高額に聞こえるかもしれないが、課税所得の 17.4%にすぎない。これは職場にいる他の20人と比べても一番低い」と説明している。投資マネジャーの中には何十億ドルもの所得の15%しか税金を 払っていない人がいる一方で、中間層には最大25%の所得税が課されていると、同氏は批判する。

また富裕層の税率が現在より高かった1980~2000年には4000万件の雇用が創出されたのに対し、富裕層減税の導入後は雇用創出数も減少したと述べて、増税を主張。年収1000万ドルを超える層にはさらに高い税率を適用すべきだとしている。

同氏は「友人たちも私自身も、富豪に優しい議会によってもう十分に甘やかされてきた。政府はそろそろ犠牲の分担を真剣に考えるべきだ」と強調した。

オバマ米大統領は同日、ミネソタ州での市民集会でこの論説に言及し、富裕層増税の必要性を改めて主張した。


バフェット氏の発言は今回に限ったものではありません。

富豪投資家バフェット氏、「富裕層への課税を増やすべき」 米国2010年10月07日 07:44 発信地:ワシントンD.C./米国

【10月7日 AFP】世界長者番付の第3位に名を連ねる米富豪投資家ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏は5日、米国は富裕層への課税額を増やすべきだと主張した。各界トップで活躍する女性が参加する米経済誌「フォーチュン (Fortune)」主催の経済フォーラム「Most Powerful Women Summit」に、数少ない男性講演者として登場したバフェット氏は、「この国を正しい状態にするには、GDPの20%相当の金額が必要だ。その 資金を誰かから徴収せねばならない」と述べた。

 バフェット氏によると、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前大統領時代に導入された減税対策の「おかげ」で、同氏が納める税率は、電話を取り次いでくれる同氏の秘書や清掃員の女性よりも少ないという。

 年末に期限が切れる「ブッシュ減税」の延長の可否は、11月2日に迫った中間選挙の争点ともなっている。

 延長法案の採決は中間選挙後に先送りされたが、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領陣営は、年収25万ドル(約 2000万円)以下の世帯に限り、2年間「ブッシュ減税」を延長する案を提示している。

 一方、共和党側は前月、富裕層、低所得者層のどちらについても増税しないと言明。民主党が主張する増税は「雇用を殺す」と息巻く。

  こうした状況のなかで、バフェット氏は、税負担を平等にするために課税システムの再構築が必要だとの持論を展開した。「米国人は1人当たりの国内総生産 (GDP)額が4万5000ドル(約380万円)強という経済的に恵まれた状態にありながら、イラクやアフガニスタンに送られる兵士が受け取る給付金は不当に低い。こうした矛盾を解消するためにも、税制を見直す必要があるというのが私の見方だ」(バフェット氏)(c)AFP



バフェット氏は一貫して富裕層がそれ相応の負担をするべきだと主張しています。
同氏はノブレス・オブリージュのいう富裕者、有名人、権力者が社会の模範となるように振る舞うべきだという社会的責任を負うべきだと一貫して主張しています。

これはアメリカに限った話ではありません。

「税金をもっと上げて」、ドイツ人富裕者グループが財産税の再導入を求める
【10月23日 AFP】裕福なドイツ人のグループが、ドイツを金融危機から立ち直らせる力になりたいと、財産税の導入を求める活動を展開している。独紙ターゲスシュピーゲル(Tagesspiegel)が伝えた。

 嘆願書にはこれまでに44人が署名した。この嘆願書はグループのウェブサイトに掲載されている。

 署名した1人、元医師のディーター・ケルムクール(Dieter Kelmkuhl)さん(66)の試算によると、50万ユーロ(約6900万円)以上の資産を持つドイツ人220万人が今年と来年、その財産の5%の税金 を納めれば、国庫に1000億ユーロ(約14兆円)を提供できるという。

 グループは1997年に廃止された財産税を再導入し、税率は最初の2年間は5%、その後は廃止時の税率だった1%にすることを提案している。ドイツはキャピタルゲインには現在も25%の税金をかけている。

 ケルムクールさんは、ドイツ国内で貧富の差が拡大し国の財政も厳しい中、政府が金融機関の救済や景気回復のため数十億ユーロ(数千億円)の支出に踏み切ったことをみて、「今こそ富裕層が祖国を助ける時だ」と考えたのだという。

 米国には約700人の裕福な米国人が所属する団体「公平な経済のための連合(United for a Fair Economy、UFE)」が存在するが、ケルムクールさんはドイツ版UFEが誕生することを望んでいるという。

 ペーター・フォルマー(Peter Vollmer)さん(69)は、自分には必要ない多額の資産を相続したので請願書に署名したと語っている。(c)AFP



これは2年前の話であるとのことです。
我が日本ではどうか?
過分ながらそのような発言を富裕層から聞いたことがありません。
あるとすれば「金儲けの何が悪いんですか!!」と言い放った村上何某のように、インサイダーと裁判所から判定された手口で金を儲け、住民税の安い外国に自分は移り住み、社会に還元しようとすらしない人間や、莫大な社内留保金を抱え込みながら「国際競争力」や「株主に対する責任」を旗印にそれを従業員にすら還元せず、莫大な報酬を得る大会社の役員。さらに単体では支払う能力があるにもかかわらず連結決算を悪用(いや税法上認められているにしても、悪用しているとしか思えないのですが)して、何年も税金を払わない銀行を代表とする企業グループなど逆の話ばかり。
日本の富豪にはノブリス・オブリージュという考え方は全くないのかと思います。
えげつない商売をすると悪名名高い近江商人ですら「三方よし」という売り手よし ・ 買い手よし ・ 世間よしという理念で行動していたといいます。今の大手企業の経営者にはそんな理念すらないように思えてなりません。

そんな中、東日本大震災復興の財源としての増税について、民主党代表選に手を挙げようとしている候補の一部には「復興財源としての増税(=所得税と法人税の増税)には反対」という主張がみられるようですが、かの経団連ですら法人時の増税(というより減税の主張を取り下げたというべきでしょうか)やむなしといっているにもかかわらず、反対するということは何を考えているのか、あなたはそんなに消費税増税をしたいのか、そうでなければ新自由主義的小さな政府を目指したいのかといいたくもなります。

かの経団連はことある度に税金を下げなければ海外に逃げるぞといっていたわけですが、この度の震災で日本の中小企業に生産を依拠していたことを思い知らされたが故の上記の発言だと思います。やはりどんな富豪であったとしても社会と切り離されては生きていくことができない以上、富豪は富豪なりの社会的責任を負うべきだと思います。
ここできちんと応能負担による東日本大震災復興の財源としての増税をしなければならないし、「日本は一つ」というならなおさらだと思います。

【kodebuya】

[編集部より]
記事へのご意見ご感想をコメント欄にお寄せ下さい。このエントリはmixiの「鍋党コミュ」のkodebuyaさんの投稿です。。
当ブログでは、mixiの「鍋党コミュ」参加者のみならず、読者の皆さまから広くブログに掲載するエントリを募集しますので、われこそはと思われる方はどしどし原稿をお寄せ下さい。投稿は、当ブログのコメント欄(非公開コメントの投稿が可能)などをご利用ください。心よりお待ちしております。
スポンサーサイト



テーマ : 税金
ジャンル : 政治・経済

FC2カウンター
プロフィール

nabe-party

Author:nabe-party
 「鍋党」(Nabe Party)の参加者がつくるブログです。
 「鍋党」は、再分配を重視する市民の会です。私たちは、格差の縮小と貧困の解消を目指し、国や地方公共団体による、富の再分配の強化を求めます。そのため私たちは、「官から民へ」ではなく、「私から公へ」を追求します。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
著者別
Nabe Party Twitter
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR