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【緊急寄稿】 原発推進も、TPP推進も、格差社会も根っこは同じだ。

 最近、標題の様な事を言うと、「それって相互に関係ないじゃない?」と言う人がいる。
 しかし、それは認識が甘い。

 今の原発災害とその直後に政治屋たちがやってきた政争劇を見て、そして、マスコミや御用学者が全く信頼できない事などが、多くの人にわかってしまった。
 しかし、もう一歩踏み込んで考えていない人はまだ多い。

 それは、標題の事など、今の日本の政治を含めた「統治システム」の頂点にいるのは、憲法上の主権者たる国民では無く、経団連に代表される大企業連合と、そのステークホルダー(意味わからない人は、自分で調べなさい!っと言わずに解説すると、要はそれらの大企業の株式や社債をもっている企業や金持ち)の様に、大企業か、親の代から世襲で資産を受け継いだ様な、既得権益集団によって、個人的利権を餌にされて財界に奉仕する、腐敗した政治屋や官僚、マスコミが、すべてを握っている事に問題があり、標題の各種のテーマも、「すべては財界(金持ち)の為に」という事で全て根っこが同じだと理解できるはずだ。

 昔、腐敗政治家として、ロッキード事件で逮捕、起訴された(公判途中で死亡)田中角栄だが、当時は、公共事業による景気刺激を行う、基本的にケインズの経済思想による経済政策がメインであり、田中角栄ら、その後竹下登、金丸信、そして自民党時代の小沢一郎らと続く土建腐敗政治屋は、その公共事業の差配をすることで、票集めをする一方で、投資の一部をかすめとったり、談合による地方土建業者からの事実上の賄賂で自らの私腹を肥やしていたのだ。

 政治屋の腐敗自体は国民を裏切る悪であるが、公共事業の実施は、地方にもお金を落とし、そこで雇用や賃金を生んだのは確かだ。また、それによって整備された社会的インフラは、今は「無駄な公共事業は止めろ」の大合唱(それもマスコミに操作されての事)だが、地方に至るまで道路や橋の建設が行われ、地方のインフラの整備にも役立った。 一時は大都市である横浜市の下水道普及率が、地方のそれより低い時代もあったのである。

 元は税金である公共投資の一部を掠め取っていた、上記の「土建利権屋」も悪ではあったが、その後、公共投資が一巡し、高度経済成長の時代が終焉したのちの不景気の時代に、中曽根と言う、核保有目的で原発を導入し、軍拡路線を進む、従来とは違うタイプの、いわば「都市型利権政治屋」が登場し、国民に直接お金を落とした公共事業をメインにするケインズ思想の経済政策から、「強い物(金持ち)がより豊かになり、金を持たない人間はひたすら、貧乏になる」という、「新自由主義(ネオ・リベラリズム)」思想による経済政策(マネタリズム)にシフトしたのであった。

 これは同時期のアメリカの「レーガノミックス」や、イギリスの「サッチャリズム」とほぼ同じもので、公共投資を減らし、富裕層減税を行い、「なんでも自由化」による、財界が一番喜ぶ政策を行ったのが中曽根であり、今の日米の産業空洞化と、貧困や格差の問題につながっていく元凶となったのである。

 彼らは言った。「自由主義の原則からして、国の支援に甘えることなく、自由に競争することで、経済のパイの拡大が行われるのであり、社会保障は社会主義であり悪だ。」っと。
 しかし、ここには「新自由主義」に隠された問題点がある。それは、「自由競争と言っても、スタートラインが各自で異なり、既得権益を持ち既に豊かな大企業や富裕層が、最初から有利な状況にある」と言う事実を隠ぺいし続けてきたのである。その点を指摘されると、悪名高き竹中平蔵による「トリクルダウン理論」(別名おこぼれ経済政策。大企業が金を儲ければ、自然とその儲けから被雇用者らにお金が落ちる)と言う、学問的根拠のないレトリック(欺瞞的弁説)により、新自由主義者は自らの路線をごり押ししたが、背景には財界との癒着があったと考えれば、その政策の目的もわかる。

 これは、中曽根が「ネオコン(軍需利権にたかる政治屋と軍需企業)」でもあり、原発も軍需も手がける三菱重工や東芝(国産ミサイルを作っている事は意外と知られていない)と言った、経団連系の「重厚長大」産業である大手製造業や、原発建設の資金を融資し、しかも株主として電力会社の原発推進策支持してきた、大手金融機関などを潤すための(のちに述べる小泉には、ネオコン要素は少なく、おもに金融機関と癒着していた)政策を行ったのである。

 学問上は、ネオリベ(新自由主義)は政府の支出を減らし、規制緩和により民間の競争を促し、短期的景気回復を図る「小さな政府」を志向する物でありながら、ネオコン政策は、何の生産性も持たない軍備に巨額の国の金を落とす行為であり、この両者は、学問上は対極に位置するものだが、中曽根の様に自らの利権の為には、学問上の整合性など無視して、国の支出を公共事業から軍需産業に振り替え、同時に「規制緩和」と言う、大企業に有利な政策誘導で、一時的な好景気を作り出した結果が「バブル」の時代である。「バブル」のそもそもは、中曽根が東京の山手線内側の建築規制を緩和し、「再開発ブーム」に火をつけた事が遠因とされる。
 しかし、バブル景気で余りにも過熱した「金至上主義」の下で、企業にも個人投資家にもモラルハザードが起き、そして、経済に無限拡大があり得ない以上、暴走した好景気は、不動産資産や株式、ゴルフ会員権などで肥大しすぎた「虚のマネー」(実体経済を伴わない景気拡大)が大きくなりすぎたために、突然破たんしたのが「バブルの崩壊」である。

 このバブル全盛期に政権中枢にあったのは、そのレールを敷いた中曽根では無く、前述の土建利権屋であった、竹下、金丸らであったが、日本独特の「土地本位制」とも呼ばれる地価高騰の時代にあって、存分に利権の甘い汁を吸っていたので、新自由主義政策の見直しをすることは行わなかった。

 バブル崩壊後のこの20年、日本はデフレ要素の強いスタグフレーションの時代にあり、一向に景気が回復しない中、新自由主義を完成させたのが、コイズミであった。しかし、完成以前に既に新自由主義の破綻が見え始めていたのに、国民はコイズミに簡単にだまされてしまったのである。
 コイズミは、純粋に財界の利益と、アメリカ従属の姿勢を採りながら、そのポピュリズム的性格により世論操作に長け、経済のわからない多くの国民に、「ワンフレーズ」と呼ばれた断定的態度を見せる事で熱狂的に支持され、押し通した結果が、今の日本の窮乏を招いたと言って間違いない。

 一例をあげれば、コイズミ時代、マスコミは「イザナギ景気以来の景気回復」と礼賛したが、実はその数字自体が大企業業績や、それらの企業製品の輸出などを指標にしているので、大いに問題があるとともに、「イザナギ景気越え」は単にその期間がイザナギ景気を上回っただけで、実際の成長率は全体でもごく微々たるものに過ぎなかったのである。

 また、「非正規雇用」の増加による貧困層増大の原因は、コイズミの前の小渕や森善朗が「派遣業法」の「改悪」を行ったものだが、コイズミはこれを見直そうとはせず、「自己責任論」と言う、何の根拠も思想も無い発言で、あらゆる反対者に「抵抗勢力」とレッテルを貼り、国民の目を逸らさせながら、富裕層への累進課税制度の廃止や、奢侈税の廃止など、金持ち優遇政策のみを取り、他方で、のちに与謝野金融・財政担当大臣が、「あの数字には何の根拠も無かった」と明かした、「社会保障費、毎年2200億円削減」と言う、貧しい者・高齢者をいじめる事にしかならない政策を行った。

 この「自己責任論」の悪弊は未だに残り、原発災害の被災者や、今でも拡大を続ける放射能汚染地域の人たちに、「原発を誘致した自分たちの自己責任」、「逃げるのも自由、とどまるのも自由。国に支援を求めるのは筋違い(これはコイズミの「人生いろいろ」発言に根差す物)。」、「交付金などで散々潤ってきたのだろう?」等と言う、被災者を差別・罵倒し、国民の間に分断をもたらす、モラル無き発言の基礎に、コイズミの発言が尾を引いているのである。
 ここまでコケにされたのに気づきもしないで、依然コイズミ人気が少しは残っている事や通称「子ネズミ」こと、コイズミの息子の「世襲3世」政治家をもてはやす連中がいることに、驚異を通り越して、恐怖すら覚える。「ここまで日本人は愚かなのか」っと。

 さらには、コイズミのあとを受けた安倍晋三は、そのもとよりの無能さの一方で世襲議員(祖父は「昭和の妖怪」と呼ばれた、岸信介であり父親も総理候補と言われながらガンで夭折した、安倍晋太郎であった。大叔父は佐藤栄作。)で既得権益層の代表的存在であり、また、極度の懐古的軍国思想の持ち主だったため、改憲への野望を隠そうとせず、国民生活には無関心で、コイズミに始まった社会保障費削減政策を継承する一方で、単なる私企業である三菱重工が進めていた純国産中型ジェット機の開発に、特段の理由も無く500億円もの補助金(返す必要は無い)をくれてやったのも、安倍が三菱重工に代表される軍需産業と癒着していたのであろう事は、だれの目にも明らかであろう(その目が曇っていなければ)。

 さらに、今回の原発災害で露呈したのが、大企業と癒着した自民党と、大企業の御用組合の支援を受ける民主党の間には、「違いを探す方が難しい」という事実である。
 確かに2007年参院選で、当時民主党代表だった小沢一郎のマニフェストで、民主党が人気を得て、政権交代に至ったのは事実だが、実態は違ったのである。
 この「2007マニフェスト」もまた、都市部・農村部に関わらず、新自由主義の破たんにより苦しむ多くの国民をだます為の、ポピュリズムに過ぎなかったのは、この2年間の民主党政権がやってきたことを見ればほぼわかるという物だ。
 しかし、このマニフェストを出した一事をもって、未だに無知蒙昧な輩が小沢一郎待望論を持っているが、先日の民主党代表選挙で「地下原発推進議員連盟(?)」のメンバーである鳩山元首相と組んで、鳩山派所属の同じく原発推進派である海江田万里を担いだ事で、はしなくも原発利権に絡む「中ボス」である事を露呈した。田中角栄から、東電の柏崎刈羽原発の立地時の土地ころがしなどに東電が関与し、その関係を小沢が引き継いでいたのである。
 また、その民主党代表選の前に、野党である自公と組んで「菅おろし」を仕掛けたのも小沢であり、天災と人災の二重の困難の中で、国家財政がさらにひっ迫するのが明白なのに、「マニフェスト原理主義」を掲げて菅直人を攻撃しながら、いざ不信任案提出の運びになると、「自分を首班にしてくれるのなら、マニフェストにはこだわらない。」っと、自公に秋波を送った事が報じられている。恐らくはそれが断られたので、自らが画策した内閣不信任案に、小沢は棄権し鳩山は反対票を投じるという迷走をしたのであろう。
 小沢が原発を推進してきた自民党と組んででも守りたかったのは、自分の利権のみであり、小沢が原発利権屋であることは既に明白。
 それでも支持する「小沢信者」には、情報リテラシーが無いか、または単にバカなのかのどちらかなのであろう。「劇薬論」で抗弁する小沢支持者もいるが、所詮、劇薬は毒薬であり、しかもその使用を国民がコントロールできず、劇薬自身が自らの私利私欲の為に動く以上、小沢に期待を寄せるのは、真の悪(財界)を見失うだけの意味しか持たない。

 この小沢、鳩山はもちろんそうであるが、海江田に決戦投票で勝ち、現在首相の座にある野田も、その八方美人的な胡散臭い言動と、その割にアメリカ以外の誰にも何の確約もせず、政策理念ものべず、まるでコイズミ時代に逆戻りしたかのような、財界、アメリカ偏重政策のみで、原発問題は放置し、TPP推進に舵を取った姿は、もはや、民主にも自民にも何の期待も持てないことを意味する。

 長くなったので、ここまでで終わるが、以上で、TPPにも原発推進にも今の格差社会の問題にも、裏に財界がいて、それに奉仕する、民主・自民双方の議員と官僚・マスコミらが、国民の事を何も考えていないことがわかる。
 であるから、大震災と原発災害のまだ初期のうちから、永田町の論理による権力闘争に明け暮れ、東北の被災者らを「棄民」し、放射能の脅威にさらされた、被災地はもとより、震災被災者や広範な日本人全体を裏切り続けているのが、民主・自民と、自民のポチである公明の正体なのである。ちなみに「みんなの党」の政策も、新自由主義路線であり、自民党と何ら変わらないのは明白である。

 こうなると、他には、既存の硬直した左派弱小政党とその他の泡沫小政党しか無く、次回の選挙でどこに投票するのか選択肢が与えられていないのが、日本国民の不幸である。

 今この時、虐げられし者が採るべき方法への一つの示唆が、新自由主義の本家であるアメリカで始まった、「ウォール街を占拠せよ!」のリベラルサイドの巻き返しであり、またこの運動が、昔はリベラル的であった、アメリカ民主党をも批判をしている事は、もはや、時代遅れの左右対立の冷戦思想を超えた、新しい政治思想のパラダイムシフトが求められる時代になった事を意味するのである。
 いまどき「反日ミンスが・・」などと言っている、ネトウヨが依然いる事にも、その無思考と無知性に、腹が立ってくるほどである。

【ジャッカル】

[編集部より]

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