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余裕がない若者たち

2人の娘が今年、相次いで嫁に行った。
こんなに一時に行かれると、それなりに寂しいものはある。
もっとも、26歳の長女は7年前に付き合っていた男のことで私と大げんかをして家を出て行ったこともあり、カミさんは別にして私とはまったくの没交渉が続いていた。

それが去年、結婚する相手ができたといって連絡があり、同じ会社に勤めるという青年をともなって久しぶりに家にやってきた。緊張して顔色を青くしている青年が、なにやら微笑ましくて結婚を許したが、それでも娘が私と視線を交わすことはほとんどなかった。

2月に長女が結婚し、6月には次女が式を挙げた。
そして10月には2人が息を合わせたように妊娠を知らせてきた。
自分に孫ができるなんて。
心境的に、私は鳩が豆鉄砲を食ったような、そんな心持ちだった。
まあ子どもができて、「家族」がまた新たな一歩を踏み出すことは目出度いことではあるのだが。

そんなこんながあって10月の末、長女から突然、わが家に行きたいと連絡が来た。
まったく珍しいこともあるものだ。雪でも降るんじゃないかと言うと、カミさんは「そんなことを言うもんじゃないわよ」とたしなめた。

そして先週末、長女夫婦がやってきた。
カミさんは連絡が来たときから舞い上がってしまって、2週間くらい前から家の大掃除を始めて準備に余念がなかった。
掃除機の音が苦手な私にとっては、まったく迷惑なことなのだが。

それはいいとして。
私たち夫婦は長女の家を7月末に訪問している。カミさんは何度か訪れているが、私が行くのがそれが初めてだった。
料理が得意な婿さんは、腕を振るって私たちをもてなしてくれた。
とはいっても、話をするのはもっぱらカミさんと娘で、私は部屋を見回したり、2人が飼っているネコをかまったりして時間をもてあましていた。
ひとつだけ婿さんと言葉を交わしたのは、帰りがてらに「この前の選挙、投票したか?」だった。

ちょうど、駅を目指して歩いていて、街中には参院選で圧勝した自民党、安倍晋三のけったくそ悪いポスターがあちこちに貼られているのを目にしたときだった。
「いえ、投票しませんでした」と婿さんは答えた。
「ダメだよ、投票しなくちゃ。安倍だけは許せん」 そう言うと、婿さんは「はあ」と言って多少申し訳なさそうに笑った。
そういえば、娘たちの狭い部屋には新聞もないようだったな、と思った。
いかんな、そんなじゃ。

で、今回の来訪だ。
娘が妊娠して初めて会うこともあり、私はこれだけは言っておこうと思っていた。
「これから日本はますます暮らしにくくなり、悪い時代が20年、もしかしたら30年と続くかもしれない。そんななかで子どもを育てるにはよほど注意しなければならない。お前たちは、絶対に子どもを守ってやるんだぞ」
婿さんは真面目な顔つきで「はい、守っていきます」と答えた。
私は、今の社会がどれほど危なっかしくて、しかも悪い方へ悪い方へ向かっていることを話したかったが、カミさんは娘の出産をアドバイスすることに一生懸命で、そんなときに政治や社会について話すのは野暮ちんというものだった。

しかし、話しをしていると、娘夫婦の生活が非常に厳しい状態にあることが分かってきた。
週5日、ときには6日働いても給料は僅かだという。娘は正社員だが、婿さんは派遣社員で、あまりに給料が安いので来年は転職を考えているらしい。
「これから転職といっても、かなり難しいだろう」
「はい、でも今のままじゃやっていけないので」
実際の給料がいくらなのかは聞かなかったが、年3ヶ月分のボーナスが出るからやっと暮らせる程度で、貯金をする余裕はないという。
「それじゃあ子どもが生まれたら大変だ」
娘が産休に入ったら生活はどうなるのか。婿さんも必死だろう。
「それに、今は拘束時間が長くて」
朝8時の始業の前、7時半には仕事場にいなければならないため、2人とも5時台に起きて支度をし、6時には家を出なければならない。そして終業して買い物をし、食事をするともうぐったりで、明日の仕事のために寝なければならない。休みの日にはただひたすら体を休める。そんな毎日で、とても新聞など読んでいる余裕はないのだそうだ。
そりゃあ大変だ。
新聞くらい読めとはとても言えない。

疲れてテレビもあまり見ない、パソコンもやらない。
それではどこから情報を得るのか。
2人が社会に無頓着で、投票にもほとんど行っていないというのには、そんな下地があったのだ。
しかし、ギリギリの収入でこき使われているのも、元を正せば政治と社会が悪いからだ。
若者たちが労働に疲弊して社会のことなど考える余裕がない、労働環境が悪いといっても周囲を見回せば自分たちとそれほど違わないから文句も言えない。
かくして経営者たちは物言わぬモルモットたちを機械のように働かせ、為政者たちは自分らに都合のいい社会を作っていく。

危ないな、あまりにも危ない。
娘たちのような若者が、社会に目を向けようとしないのは、あまりに危険だ。

生まれてくる子のために、親はどんなことがあっても守ってやらなければならない。私がそう言ったのは、今後も成果至上主義つまりは新自由主義は改まることはないだろうし、自民党政権は日本を戦前社会のような暗黒時代に導こうとしている。そんな状況から守ってやらなければならないという気持ちからだった。
秘密保護法が施行されて国民の知る権利が奪われ、個々人の行動が公益に反していないか監視されるようになり、さらには集団的自衛権が解釈改憲されてやがては軍事国家になっていく。
安倍晋三が政権を取り、そんな道筋がうっすら見えてきた。
もし、自分の子どもが徴兵されるような世の中になってしまったらどうする。
そうなってしまってからでは遅すぎる。
これから20年、30年たって、子どもが成人し大人になった頃、悪政は彼らを直撃するだろう。これは決して冗談じゃない。
そうならないために、親は社会に目を向け、政治を監視し、無法な経営者たちにNOを突きつけていかなければならない。物言う大人として選挙では必ず投票し、正しい判断を示していかなければならない。残された権利を徹底的に行使していく必要がある。

そんな私の気持ちを、彼らは受け取ってくれるだろうか。
「またうるさい、面倒なことを言って」
以前の対立から私を許しきっていない娘はそう思うかもしれない。
婿さんは生真面目な性格のようだが、どう見てもノンポリだ。
そんな2人に対して、今、親として私にできるのは何か。私もまた彼らを守ってやる責任がある。

「今度、彼(婿さん)だけでもどこかに呼んで、じっくり話し合おうかな」
私はカミさんに言った。カミさんには娘たちが帰った後、私が何を話したかったかを伝えてある。
「そうねえ……」
言葉を濁すカミさんもまた、彼らを心配し始めている。
しかし、結論はまだ宙に浮いたままである。
政権が右に舵を取り、社会保障を切り捨てて着実に国民の生活を追い詰めていっている今、私たちがためらっていられる時間はそれほど多くはないのだが。

【タツ】

[編集部より]
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 「鍋党」は、再分配を重視する市民の会です。私たちは、格差の縮小と貧困の解消を目指し、国や地方公共団体による、富の再分配の強化を求めます。そのため私たちは、「官から民へ」ではなく、「私から公へ」を追求します。

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