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労働組合と最低労働賃金 その1

日本の最低賃金は地域別(都道府県)に定められていますが、もっとも高い東京都ですら西欧の最低レベルに達していません。

さらにフランスでは全業種共通の最低賃金と、職種職能別の最低賃金があり、後者が存在する業種の場合は後者の賃金が最低ラインになっています。つまり、実質的には共通最低賃金以上の最低賃金が支払われているわけです。

重要なのは、フランスの最低賃金がフルタイムで働けば十分生活可能なレベルにある点です。日本の最低賃金では生活保護レベルにも満たず、憲法で保障された文化的衛生的な生活は不可能です。

フランスには14~15%の最低賃金労働者がいるので、最低賃金を上げることは非常に強力な景気対策になりますし、子供手当てや高速道路の一時的な割引よりずっと平等な政策です。ここではフランスを例に挙げましたが、西欧であればどこも同じような政策をとっています。

それではフランス(または欧州各国)の場合は、どうやって最低賃金を決めているのでしょうか?

これを説明しようとするとかなり長くなってしまうのですが、端的にいえば労働組合と経済団体(使用者団体)、そして政府の三者が合同で協議する形で最低賃金がきまります。

フランスをはじめとした西欧・北欧では、労働組合が産業別に組織されています。
たとえば鉄鋼業界の会社に勤めている人は、その勤め先企業にかかわらず、すべて同じ鉄鋼業界の労働組合に個人で加入します(業界によっては、複数の労働組合が存在します)。そして、それぞれの産業別組合はナショナルセンターという、全国規模の管理組織によってまとめられています。フランスの場合は8つのナショナルセンターがあります。三者協定に参加するのは、このナショナルセンターか、複数のナショナルセンターの代表者です(日本には民主党系の「連合」と共産党系の「全労連」という二つの“自称”ナショナルセンターがあります)。したがって欧州の場合、同じ産業内であれば、転職して所属企業が変わっても、加入する労働組合は同じです。


●欧州の労組:
個人が産業別の労働組合に加入
   ↓
産業別の労働組合が特定のナショナルセンターに加盟


ちょっと複雑ですが、鉄鋼業界の企業に勤めている社労士(労務などを担当する人)は、社労士の職能別労働組合に所属していることもあります。あるいは、鉄鋼業界の組合と、社労士の組合の二つに加入していることもあります。この場合、最低賃金は鉄鋼業界と社労士のもののどちらか、高いほうが適用されることになります。

次に日本の場合ですが、日本にも産業別あるいは職能別労働組合(あの有名な日教組もその一つです)がないわけではないのですが、個人加盟ではなく、あくまで個々の職場(企業)の中にある労働組合の集合体という形をとっています。つまり


●日本の労組:
個人が職場(企業)の労働組合に加入
   ↓
職場の労働組合が産業別の合同組合に加盟
   ↓
産業別の合同組合が特定のナショナルセンターに加盟


という形をとっているので、結局は企業別労働組合の集まりが日本の産業別組合であり、ナショナルセンターなのだ、ということができます。欧州にも企業内の組合がある場合があります。しかしそれはあくまで産業別組合の中の1グループ程度の認識であって、彼らが“組合”を名乗り、個別にデモやストを行うというのは稀なのです。

労働組合が企業別に組織されていることの問題点は、企業の存続・利益と組合の存続・利益が直結していることです。

企業なくして組合は存在しえないわけですから、組合は最終的に企業の支配を免れません。また、企業の利益が組合・組合員の利益に直結するので、市場原理によって他社より優位に立たなければならない、という意識が働きます(他社との競争に勝って利益をあげなければ、賃上げは望めません)。ここに、日本の企業別組合同士が『潜在的な対立組織』であるという致命的弱点があるのです。したがって企業別組合の集合体たる産業別組合も、企業単位の利益がぶつかり合う「内ゲバ」の場でしかないのです。

(以下「その2」に続く)

【構成・Takky@UC】


[編集部より]

今回のエントリは、mixi「鍋党コミュ」メンバーの地下鉄うさぎさんからTakky@UCにいただいたメッセージをもとに編集部(Takky@UC)が作成したものです。「鍋ねた」を提供してくれた地下鉄うさぎさんに感謝いたします。本記事の続編は、3月4日(金)に公開予定です。

当ブログでは、mixiの「鍋党コミュ」参加者のみならず、読者の皆さまから広くブログに掲載するエントリを募集しますので、われこそはと思われる方はどしどし原稿をお寄せ下さい。投稿は、当ブログのコメント欄(非公開コメントの投稿が可能)などをご利用ください。心よりお待ちしております。なお、お寄せいただいた原稿は、当ブログでの公開に先立って、「鍋党コミュ」内で公開する可能性があります。コミュでの議論に興味がおありの方は、是非ご参加ください。
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一箇所訂正を求めます

ナショナルセンターについての説明で、”共産党系の「全労連」”というくだりがありますが、歴史的背景はあるにせよ、現在組織的に「民主党支持」を公言している連合とは一線を画し、全労連は組合員に対して支持政党を強制しない立場を取っています。これを労働組合の3原則の一つ、「政党からの独立」と言います。つまり、どんな政党を支持している人であっても、労働者として目指す要求で一致できるならば組合員として受け入れるということです。
逆に言えば、どんな政党であっても要求を実現するために連携できるなら連携するということでもあるので、全労連の国会要請行動ではすべての国会議員を対象にしています。ちなみに、明日は日本医労連で医師・看護師増員のための請願署名の紹介議員を要請するために議員訪問をしますが、基本的に議員会館全体を手分けして回ります。集会への参加要請やメッセージ要請も、すべての政党に対して行ないます。
故に、”共産党系の「全労連」”という表現は誤解を招くので、訂正していただきたいと思います。

それから、今後書かれる予定なのかもしれませんが、日本でも最低賃金は使用者、労働者、公益を代表する者の三者による中央最低賃金審議会によって各都道府県別の目安が提案され、それを受けてやはり同じ構成の地方最低賃金審議会が各都道府県別の最低賃金額を厚生労働省に答申します。ここ何年か続けて最低賃金が引き上げられているのには法改正の影響もありますが、中央の目安を更に引き上げる努力を地方の審議会が行なっていることも影響していると思います。

分断統治

>ぽむさん

分断統治についてですが、これはもうぽむさんが仰るとおりです。われわれ労働者は、政財界の連中にいいようにやられ続けているというのが実情ではないでしょうか。UIゼンセン同盟などの御用組合が大手を振っているのも非常に問題です。

ただ現在、日本の労働者が立たされている苦境については、政財界だけでなく、既存の労働組合にも大いに責任があり、私のような組合関係者が猛省したうえで改善の努力をしなければならないのですが、能力も気力も足らぬ未熟者ゆえ、結果らしい結果というのは未だに出すことができていません。

しかしそれでも、一般労働者の皆さんが労働組合・労働運動に目覚めてくれない限り、日本の劣悪な労働環境が変わることはありません。どんな小さなことでもかまいませんので、ぜひ労働組合を応援していただきたいと思います。

No title

元からある戦闘的な第一組合に対抗して、企業がバックアップして第二組合(御用組合)を作り、第一組合をつぶしていく。労組つぶしのよくあるパターンですが、こういう事ができるのも労働組合が企業別に組織されているからなのですね。企業VS労働者という本来あるべき対立構図にならず、結局、企業VS企業になってしまう、まさに「分断して統治せよ」です。

ところで、一昨日、私も登録している「首都圏青年ユニオンを支える会」MLで知ったちょっと嬉しいニュースを紹介。
日本でも企業別組織でない労働組合が育ってきていることに希望を感じます。

毎日新聞に載った記事から。

洋麺屋五右衛門:「変形労働時間制」を廃止
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110301k0000m040041000c.html

スパゲティ専門店の洋麺屋五右衛門などを全国展開する飲食大手「日本レストランシステム」(東京都渋谷区)が、一定期間の平均が法定労働時間(1日8時間、1週間40時間)にとどまっていれば繁閑に応じてその割り振りに偏りがあってもよいとする労働基準法に基づく「変形労働時間制」について、5月からアルバイトへの適用を廃止することを決めた。廃止を求めてきた元アルバイト男性(29)らが28日、明らかにした。

 同制度は、就業規則に明示した期間内での労働時間の変形を認めたもの。同社は就業規則に期間を明示していなかった上、時給制のアルバイトにも変形労働時間制を適用し、深夜や休日の割増賃金を支払っていなかった。男性が未払い分の支払いを求めて東京地裁に提訴して勝訴。東京高裁で和解が成立した。

 同社人事部は「裁判や組合との話し合いなどから総合的に判断し、廃止を決めた」として、全国400店舗で変形労働時間制を中止することを明らかにした。男性が所属する首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「違法な運用は横行しているのではないか。廃止は画期的で、法改正も求めていきたい」としている。

以下は、首都圏青年ユニオンの声明から一部抜粋したものです。

今回の日本レストランシステムでのアルバイト・パートに対する変形労働時間制の廃止決定は、首都圏青年ユニオンの大きな成果である。すでに、首都圏青年ユニオンは2006年11月に、牛丼チェーン「すき家」を経営するゼンショーでもアルバイト・パート従業員約1万名に対して変形労働時間制の適用を廃止させるという成果を勝ち取っている。今回の日本レストランシステムにおけるアルバイト・パート従業員への変形労働時間制の廃止は変形労働時間制をめぐる賃金制度の是正の二つ目の大きな成果である。
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