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労働組合と最低労働賃金 その2

前回の続きです。

日本では大企業ほど労働組合の組織率が高く、中小零細にはほとんど組合が存在しません。

規模が1000人以上の企業は雇用者総数が1099万人いて、労働組合の組合員が508万人、つまり組織率は約46%ほどになります。規模が100~999人の企業になると、雇用者総数が1351万人、組合員が192万人で、組織率は約14%まで落ちます。そして規模が99人以下の企業は雇用者総数が2429万人、組合員数が27万人、組織率はなんと1%なのです。

上記に個人加盟の地域ユニオンに所属する組合員などを加えると、現在日本の労働組合組織率は18.5%となり、他国と比較して極端に低いわけでもないことになります。しかし、その内訳は『もっとも労働組合を必要とする、全労働者の半数を占める中小零細の従業員が、ほぼ99%組織されていない』という極めてアンバランスな状態になっています。

日本において労働組合の活動は企業内に限定されますから、いくら組合が大企業でがんばっても、中小零細の労働者は完全に『無権利』な状態であり、逆に彼らからみると、大企業の労働組合が彼らの人件費を吊り上げることで、下請けの中小にしわ寄せが来ていると思える状態になっています。当然、それは事実ではありません。本当の問題は、大企業が中小零細の労働者から搾取を行うシステムにあるのですが、実情を知らない労働者がそう思ってしまうのは、やむを得ないところもあります。

加えて、最近は非正規労働者の困窮が非常に大きな問題になっています。
現在はかなり改善しましたが、企業別組合の多くは、当初、非正規労働者に加入資格すら与えていませんでした。これが組合と非正規労働者の間に決定的な亀裂を入れる原因になったのは、おそらくご存知だと思います。企業別組合は企業と同じなのです。つまり、企業内組合員の利益を守るために存在するのであり、自らの利益を損なう活動は決して行いません。ぼくにいわせれば、そんなものは労働組合ですらないです。

弱者を救わずして何のための労働運動でしょうか。労働運動なくして何のための労働組合か、ということになってしまいます。もし、非正規や未組織の労働者の利益を代弁することで、自らの利益を損なうと考えるのであれば、そんな組合は滅んでけっこう、むしろ滅ぶべきです。

話が横道にそれてしまいましたが、日本において最低賃金の決定は、政府・財界の独断に、共産党などの少数政党が多少の横槍を入れて、なんとか現在のレベルになっているというのが現状です。最低賃金の決定に、労働組合の意見はまったく反映されていません。

しかし欧州は、前回お話ししたように政財労の三者により、労働協約を結ぶことができます。労働協約は未組織の労働者にも自動的に適用される、いわば「法定最低賃金」ともいうべきものになります。

ここが重要です。

前回のエントリで説明した『鉄鋼業界の社労士』の例ですが、もし彼が組合に所属していないとしても、彼は鉄鋼業界組合ならびに社労士組合の保護下にあるわけです。どんなに小さな零細に勤めていても、大企業にいる社労士と何も劣らぬ水準で『労働運動の恩恵』を受けることができます。非正規だろうと未組織だろうと、欧州の労働者にとって労働組合は自らの利益を代表する存在です。日本では労働組合が労働協約を結べるのは、その組合が所属する企業だけです。そして、協約は企業外に影響を及ぼすことはまったくなく、ひどい場合では組合員だけに限定されることすらあります。

欧州では、最低賃金を上げるために、最低賃金よりよい給与を得ている大企業の労働者もストを行います。逆に大企業でリストラがあれば、抗議ストに中小企業労働者も参加します。欧州の労働運動は、個別企業の利益を完全に度外視しているのです。

このように強大な労働者の集合体ですから、当然政治的な圧力も非常に強いです。日本では信じられないことですが、欧州では大企業が理不尽なリストラを行うと、国会議員や自治体の有力者が公然と企業を批判します。企業献金やら裏金やらの利権でズブズブの議員でも、迂闊な発言をすれば来期の議席はありません。ですから、政治の腐敗を防ぐ意味でも、非常に重要な役割を果たしているのです。

【構成・Takky@UC】


[編集部より]
今回のエントリは、前回に引き続き、mixi「鍋党コミュ」メンバーの地下鉄うさぎさんからTakky@UCにいただいたメッセージをもとに編集部(Takky@UC)が作成したものです。「鍋ねた」を提供してくれた地下鉄うさぎさんに感謝いたします。当ブログでは、mixiの「鍋党コミュ」参加者のみならず、読者の皆さまから広くブログに掲載するエントリを募集しますので、われこそはと思われる方はどしどし原稿をお寄せ下さい。投稿は、当ブログのコメント欄(非公開コメントの投稿が可能)などをご利用ください。心よりお待ちしております。なお、お寄せいただいた原稿は、当ブログでの公開に先立って、「鍋党コミュ」内で公開する可能性があります。コミュでの議論に興味がおありの方は、是非ご参加ください。
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テーマ : 政治・経済・時事問題
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■ Comment

No title

みどりさんのご指摘はその通りかと思います。私の場合は90年代後半に(当時大リストラが進められた)鉄鋼業界で会社側の立場から労働組合と向き合った経緯があるのですが、前線の組合員の方々は極めて真摯に現状と戦っておられました。当時の鉄鋼業界といえば中国の安価な粗鋼生産によって大打撃を受け、生き残りをかけた経費削減にもがき苦しむ修羅場でした。そういった中でも安易にリストラを容認する訳でもなく、かといって意固地に権利を主張するのでもなく、事業の存続と労働の場の確保のための最善の着地点を組合・会社双方で模索し続けた結果として、その後の高級鋼への活路、国内鉄鋼メーカーの生き残りへとつながったのだと思います。
会社・業界単位を超えたレベルでもそういった地道な活動は今も刻々なされていると思いますし、新興国の台頭がさらに進んだ現状を考えればその苦労は年々増していっているものと思います。
そういった現場の組合員の方々の尽力を活かし、昨今増す一方の「強者の論理」への防波堤をいかにしてうず高く構築していくのかという視点で今後も急ぎ議論・行動を進めていかなければならないでしょうね。

再度、訂正を求めます。別件ですが。

「最低賃金の決定に、労働組合の意見はまったく反映されていません。」とありますが、これは少々おかしくありませんか? 前回のコメントでも書いたと思いますし、トラックバックもしていますが、日本でも中央最低賃金審議会、地方最低賃金審議会の構成は使用者代表、労働者代表、公益を代表する者の三者です。
労働者代表のほとんどが連合系の労働組合の役員で占められ、彼らは労働者の利益よりも経営者の利益を優先すると考えてそう表現されているのでしたらそう注釈すべきで、「労働組合の意見はまったく反映されていません。」とまで言い切るのはどうかと思います。
それに、労働組合を中心に「最低賃金を1000円以上に」の署名を全国で集めたり、中央、地方の最低賃金審議会に働きかけたり、最低賃金を引き上げるための活動は地道に行なわれています。そうしたことを全く無視することも納得できません。

連合系の労働組合に対する苛立ちは理解しますが、もっと広い視野を持って労働組合運動を捉えてほしいと思います。地道に活動している人たちが読んだら怒りますよ。
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