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今必要なのは中流層の復活だ!

アメリカの経済学者ポール・クルーグマンは「格差はつくられた(原題"The Conscience of a Liberal")」のなかで、1950年代のアメリカは、中流階層社会であり、「大圧縮の時代(The Great Compression)」と呼ばれる時代があった。つまり富裕層と労働者階層の格差、そして労働者間の賃金格差が大きく縮小したことを「大圧縮」と呼び、アメリカのもっとも繁栄した時代だと述べている。 しかし今や中流階層は消滅しアメリカ経済がぼろぼろなのは誰が見ても明らかだろう。この本の中で格差を是正するためには1980年以降、「保守派ムーブメント」が通してきた富裕層に対する多くの減税を廃止することが必要であると述べている。以下に本文を引用すると

そのような税制度に戻す第一段階は、高額所得者のためのブッシュ減税を予定どおり2010年末に期限切れにさせることである。それだけでもかなりの税収を確保できるはずだ。党派と関係がないアーバン・ブルッキングス総合税政センターは、所得が20万ドル以上の高所得者を対象にしたブッシュ減税を期限切れにさせるだけでも、2012年から約1400億ドルの税収が見込めるとしている。

(中略)

ニューディール創設時から1970年代まで「スーパー」税率を高所得者に対して適応することは、いわば当然であり、適切なことでもあった。70年代、70パーセントの最高税率の枠に当てはまった個人は非常に限られていたし、ましてやアイゼンハワー時代の90パーセント以上の最高税率となるというまでもなかった。高額所得者に対し付加税を課したとしても、政府の税収がそれほど増えるわけではないので、金持ちを罰する以外何の目的にもならないと議論されてきた。だが、それは今となっては事実ではない。 現在、アメリカの人口のわずか0.1パーセントに当たる、最低でも約130万ドル、平均で350万ドルの所得のあるトップ富裕層の所得の合計は、全国民収入の7パーセントを占め、1975年の2.2パーセントと比べて割合が高くなっている。その収入に対する付加税は、税収をかなり大きく増大させるだろうし、それは多くの人を助けるのに当てることができる。要するに、ブッシュ減税の割戻しや国民皆保険を設立した後の次のステップは、アメリカで累進課税を復活させ、それで得た税収を低・中間層世帯を援助する手当てや給付金に使うよう広く努力することである。



しかし、オバマ大統領はこれまで反対していたブッシュ減税の高額所得者向け部分を含め、ほとんどの政策を延長させてしまった。これにはポール・クルーグマンもがっかりしただろう。確かにこうした政策をすることは難しいことは彼もわかっていて、この本のなかで「強固なセイフティーネットをつくるためにいくぶん高い税金を払わなければならないと一般国民を説得することは、反増税や反政府のプロパガンダが数十年間続いてきたことを考えると、政治課題として容易なことではない」とも述べている。
だからといって彼の味方が誰もいないわけではない。現在、米ニューヨークのウォール街で始まった反格差社会デモ「ウォール街を占拠せよ」は全米に広がる勢いだ。そして、ポール・クルーグマンと同様の主張をしている人がもう一人いる。ロバート・ライシュ(カリフォルニア大バークレー校教授)だ。

最初のところだけ引用するが、できればリンク先を全文読んでいただきたい内容だ。

ニューヨークタイムズの話題論文を全文翻訳ーーロバート・ライシュ「没落した中流階級の再生なしにアメリカ経済は復活しない」
少数の金持ちに依存する経済は弱い



 最上位5%に属する高所得層アメリカ人の消費は、いまや全体の37%の割合を占める、というのがムーディーズ・アナリティックスによる最近の調査結果だ。驚くには当たらない。アメリカ社会はますます不平等を広げたのだ。

 それほど多くの所得がトップにわたる一方で、中流階級がもっと借金漬けにならなくとも経済を回していけるだけ十分な購買力をもちあわせていないとする。その結果は、すでに経験したように、ひどいことになる。

 少数者の消費に大きく依存する経済は、にわか景気と不況の交替を引き起こしがちでもある。金持ちは貯蓄が好調だと派手に消費し投資もするが、資産価値が急落すると引っ込む。これが時に大荒れの乱高下をみちびく。この点はすでに誰にも耳慣れた話だ。

(中略)

この100年間、大金持ちが儲けた直後に景気後退が起きている

 この100年を振りかえってみれば、あるパターンが見えてくる。1947年から1977年にいたる偉大なアメリカの繁栄期のように、大金持ちが全体の収益中のより少ない部分を家に持ち帰っていたときには、アメリカ全体は急速に成長し、賃金の中央値が急騰した。好循環が生まれたのだ。かつてなく成長した中流階級は、より多くの商品とサービスを消費する能力があるので、さらに多くのいい職(ジョブス)を生みだし、その結果、需要がかきたてられる。上げ潮は事実すべての船を押し上げたのである。

 1918年から1933年までの期間のように、あるいは1981年から現在までの大後退の時期のように、大金持ちが収益のより大きな部分を家に持ち帰った時には成長は鈍化し、賃金中央値は沈滞し、われわれは巨大な景気後退に苦しむことになる。



つまりはロバート・ライシュもポール・クルーグマンとほとんど同じ主張だと思う。
国を立て直すには、過去の累進化税率を復活させて再分配しなくてはならない。この累進課税の弱体化を進めてきたのは保守派である。また労働組合たたきをして労働者賃金を引き下げてきたのもこうした保守派ムーブメントである。
累進課税が上がれば、たとえばヘッジファンドの経営者たちが収益をキャピタルゲインとして申告して、低い税率(アメリカだと15%で、日本だと10%)でしか納税しないことの抜け道をふさぐなどしなくてはならないだろう。つまりはキャピタルゲインも一般収入として課税するべきだ。ちなみにイギリスではキャピタルゲインは一般収入として課税されているようだ。このあたりのことはポール・クルーグマンのこの本に詳しく書いてあるので読んでみるとよいと思う。
ちょっと誤解されると困るのだが、アメリカのお金持ちが税金を払うのがみな嫌だと言っているのではない。以前のエントリで取り上げたように富豪投資家バフェット氏「富裕層への課税を増やすべき」と主張している

責任を果たそうとするアメリカの富豪とそうしようとしない日本の富豪

良識のあるお金持ちは保守派ムーブメントとは違うということだろうか?
また、ニュースとして取り上げられ方が小さいが、ほかの国でもこうした動きはある


スペイン政府、富裕税復活で21.6億ユーロの税収増目指す (1)

9月15日(ブルームバーグ):スペイン政府は富裕税の再導入を16日に承認し、2011年と12年に総額21億6000万ユーロ(約2300億円)の税収増を目指す。富裕税は財政赤字削減策として暫定的に復活させる。

サルガド経済・財務相が15日にマドリードで明らかにしたところでは、富裕税は70万ユーロを超える資産に適用し、16万人の納税者が影響を受ける見通し。同税は08年に廃止されていた。

スペインでは、政府が打ち出した賃下げを含む財政緊縮策に対する国民の不満が全国的な抗議行動に発展し、世論調査の結果は、11月20日の総選挙で与党社会労働党が敗北する見通しを示唆している。



日本もかつては一億総中流などと呼ばれていた時代があったはずだ。
少なくともぼくが高校生くらいだったはるか何十年か昔はそうだった。その時代を過ごした人たちは、今の日本など想像もできなかった。だから、今回紹介したポール・クルーグマンとロバート・ライシュの主張もいまの日本にも当てはまるのではないだろうか。
復興財源に限った話ではないが、単なる所得税の一律税率アップなどではなく、累進課税の復活やキャピタルゲインへの適正な課税などが必要だろう。消費税については以前のエントリで何度も批判したからそちらを読んでほしい。消費税導入以前の20数年前の日本には分厚い中流階層があったことも忘れてはならない。

どうも日本人は「増税か減税か?」という「二分割思考」に陥っている人が多いのではないか?だいぶ前に河村たかし・名古屋市長が「減税日本」を立ち上げたときにテレビでインタビューに答えていたおばちゃんがいた。インタビュアーが「(低所得者層でも)たとえ1000円でも減税されればうれしいですか?」と聞いたら「そりゃそうよ(ウフフッ)」と答えていたのを見て唖然となってしまった。低所得者であれば自分が支払う税金の額よりも、自分が受ける公共サービスの恩恵のほうが大きい。しかし、そうしたことが解らずに単に「減税」の二文字に飛びついてしまったひとたちのおめでたさには頭が痛い。

・参考資料
所得税の税率の推移(イメージ図)
累進課税推移

申告納税者の所得税負担率(平成19年分)
所得税負担率



【Takky@UC】

[編集部より]
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米国で始まった抗議運動「ウォール街を占拠せよ」に呼応する形で、有志がデモ活動を企画。2011年10月15日に東京日比谷公園からデモ行進を開始し、経済格差に抗議したり、脱原発を主張したりした[1]。同日には別の団体が六本木の三河台公園を「占拠」し集会が開かれた他、新宿・川崎・京都でも同趣旨の集会・デモが行なわれた。

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