生活保護バッシング その1
不正受給問題であたかも犯罪者扱い!?
生活保護受給者が脅える凄惨な仕打ちと悲惨な日常
こう脅えるのは、40歳代の当事者のAさん。人気お笑いタレントの河本準一さんの母親が生活保護を受給していたとして『女性セブン』が報じたのを皮切りに、駅の売店で『夕刊フジ』が「“生活保護”モラル崩壊!若者が不正受給でグーダラ生活」という見出しを掲げ、受給者の現状を無視した記事を掲載。テレビでは、ワイドショーなどの番組が、連日のように偏見や誤解を煽るような生活保護受給者に対するバッシングを続けていた。
「ちょっとテレビをつけると、たいてい生活保護の話を長々とやっている。あ~、もう生活保護の報道番組を見るのが怖くて…。でも、気になって、つい見てしまい、眠れなくなるんです」
なぜこれほどまでにテレビ・ワイドショーで生活保護をたたくのだろうか?結局これは作り手の問題だろう。テレビ局というのはよそ様と違ってテレビ局の社員というのは相当高い給料を得ているからだ。
同様に新聞社も同じで、朝日とか読売とか大新聞の記者の給料も相当高いだろう。
だから彼ら高給取りにとっては生活保護なんて「福祉をだまし取っている連中」と思う人たちが多いのではないだろうか?さらにテレビや新聞社のスポンサーは企業だから、金持ち側に有利なバイアスがかかっていると見た方がいい。
和田秀樹氏の「富裕層が日本をダメにした!」より引用
アメリカでは、たとえば日本でいうところの朝日新聞とか読売に当たるニューヨークタイムズやワシントンポストに大学を出てすぐに入れるということはほとんどない。ABC,CBS,NBCの3大ネットワークに新卒では入れるということもまずない。一方、日本の場合は、東大、早稲田、慶応を出てすぐにNHKや民放各局に入るとか、朝日、読売、毎日に入ることになる。
アメリカにおいて、影響力の大きいマスコミで働くには競争を勝ち抜いていかなくてはならない。私はカンザス州のトピーカという町に住んでいたことがある。人口10万人のトピーカにはトピーカキャピタルジャーナルという小さな新聞社があり、ジャーナリストを目指す者はまず大卒でそこに入る。トピーカキャピタルジャーナルで比較的いい記事を書くと、より大きい町であるカンザスシティのカンザスシティスターという新聞社に移る。そこでもまたいい記事を書くとさらに発行エリアも発行部数も大きいシカゴトリビューンの記事が書けるようになり、最後に勝ち抜いた者がニューヨークタイムズで書けるわけだ。
ところがニューヨークタイムズの記者が、それだけ勝ちあがった人たちだから非常に給料がいいかというと、朝日新聞の約半分、日本円にすれば年収600万ほどである。アメリカの場合、たしかに3大ネットワークのキャスターなどは億単位での引き抜きもあるが、多くは社会の木鐸(ぼくたく)というか、貧しい人の視点でものを書くというところが残っている。
日本のメディアで働くものはアメリカのそれとは違うようだ。
こうした連中がつくったワイドショーや新聞記事が発しているメッセージのイメージは「あなたの税金は無駄な福祉によって上げられているのですよ!!」というものではないだろうか?
話を戻すが、生活保護で不正受給は全体の0.4%ほどだといわれている。
病気などして生活に困っている人たちにとって生活保護制度というのは命綱なのだ。
それをこのような生活保護バッシングをして社会的に弱い人たちを排除して成り立つ社会の方が脆弱ではないだろうか?だれだっていつまた大きな地震や災害にあうかわからない。個人ではどうしようもないことはあるのだから、社会のセーフティネットは堅牢なものでなくてはならない。
もうひとつ引用したい本があるので、ご紹介する。
ポール・クルーグマン「格差はつくられた」より引用
「福祉の爆発」
2004年の死後、ロナルド・レーガンは慈愛に満ちた愛すべき男として褒めたたえられてきた。彼は自由の大儀のために戦い、悪の帝国であったソビエトに勝利し、これもきっと大儀のために違いない減税にも打ち込んだ。しかし、1966年にカリフォルニア州知事になったロナルド・レーガンは、かなり違った人物でもあった。彼は福祉のただ乗りに怒っていた白人有権者の代表であり、そのための道具でもあった。その自伝の中で、レーガンは彼に66年のカリフォルニアの州知事選挙に立候補を促したグループについて、こう書いている人々は政府による福祉の無駄遣いや福祉をだまし取っている連中にこりごりしていた。それに彼らは急な増税や、政府の規制や、横柄な官僚と役人に怒っていた。役人たちは、問題はすべて税金をつぎ込めば解決できると思い込んでいたのだ。
ここで書かれているイメージは明らかである。福祉をだまし取っている連中が、国民の税金を上昇させているということである。それが事実でないことなど、どうでもよかった。ほとんどの人々が「福祉」と聞いた際、母子家庭のための「要扶養児童家族支援プログラム」を思い浮かべていたが、このプログラムは政府にとって大きな負担になったことはなく、またインチキ受給が大きな問題になったこともなかった。
たしかに福祉予算が上昇していたことは事実であった。66年になると、10年前に比べて2倍以上のアメリカ人が福祉を受けていた。これはまだ序の口であった。福祉予算は60年代後半、70年代初めの「福祉の爆発」で再度倍以上に跳ね上がっている。そしてレーガンが指摘するまでもなく、福祉を受けるようになった多くは黒人であった。
つまりはアメリカでの福祉バッシングは人種問題がその根底にあったようだが、本書にはそれだけではないことがこの後に書かれている。興味のある人は本書を読んでみるとよいと思う。
生活費貧窮している人から生活保護制度を引き離し、東電の勝俣会長のように原発の安全性をないがしろにして事故を起こした人の自宅には警官を配備して保護をするというのは、(理由はあるでしょうけど)なんだか納得いかないのは、ぼくだけか?
【Takky@UC】
[編集部より]
次回6月18日にJ-Blueさんによる続編(リレーブログ)を予定してます。皆様お楽しみに!
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