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『NHKスペシャル 東日本大震災』追跡 復興予算19兆円

先日のNHKスペシャルで復興予算の使われ方を追跡した番組がやっていて、非常に興味深い内容だった。

復興はいつに!?被災地から切実な声とは!『NHKスペシャル 東日本大震災』

■『NHKスペシャル 東日本大震災』追跡 復興予算19兆円
2012年9月9日(日)21:00~21:58(NHK総合テレビ)



たとえば3次補正予算9.2兆円の中から、岐阜県のコンタクトレンズメーカの新設ラインにこの3次補正予算が補助金として使われている。なぜ被災した東北から500kmも離れた岐阜県に予算が使われたのだろうか?
補助金を出したのは1.2兆円を確保した経済産業省で、そして1.2兆円の中から国内立地補助金約3,000億円からこの予算は投じられた。コンタクトレンズメーカは仙台に営業所や販売店をもっていることから、将来の波及効果として被災地の雇用拡大の可能性をあげて補助金申請をした。そして経済産業省はこの申請を認めた。
このように経済産業省が立地補助金を認可したのは全国で510件にのぼるが、被害のあった東北地方では30件しかない。つまりは9割以上が被災地以外に投入されてるということだった。
何でこんなことになるかというと、復興の基本方針が

1.被災地域における社会経済の再生および生活の再建に取り組む
2.豊かで活力ある日本全体の再生


つまり、2.があるために被災地以外に復興予算を投入することが可能になっている。
普通に考えたら、一番困っている、1.に多くの予算を投入するべきなのだろうが、経済産業省の官僚たちの頭の中は、2.に偏っているようだ。
阪神淡路大震災のときの復興予算を検証した神戸大学の専門家に、NHKが各省庁が作った3次補正予算9.2兆円の事業シートをみてもらった。
この事業シートを以下の3つに分類してもらった。

赤丸:被災地以外の地域
青丸:被災地を含む全国
無印:被災地のみ


そうしたところ、赤丸・青丸の事業がたくさん見つかっていく。
赤丸には経済産業省が15億9800万円を計上した「低炭素社会を実現する革新的融合」という電気自動車の燃料電池の素材を開発するための補助金であり、被災地と直接どう関係あるのかさっぱり良くわからない。経済産業省によれば、この補助金は震災後復興事業やエネルギー対策が課題になったからだそうだ。しかもこの予算は経済産業省所管の独立行政法人に交付されていた。これでは経済産業省のお手盛りもいいところだ。
その他に、刑務所に交付されて職業訓練に当てられていたり、テロ対策に使われたり、反捕鯨団体対策に使われたり、いろいろなこじ付けをつけては被災地以外に多くの金が流れている。
番組では3次補正予算9.2兆円のうち赤丸・青丸の被災地以外に使われた予算は約2兆4,500億円だと紹介していた。こうした事実を被災地で今苦しんでいる人たちはどういう思いでこの番組を見ただろうか?この9.2兆円もの予算は「復興のための増税」によってまかなわれる。しかし、被災地には直接届かずに、各省庁が好きなようにやっていたのでは、「被災地の復興のための増税」ではなく「各省庁の利権のための増税」ということになる。
これでは被災地はいつまでたっても復興せずに被災者はさらに長期にわたって苦しい被災生活を送ることになる。

国の担当者はNHKに対して
「被災地には十分すぎるほど予算を配分しているつもりだ」
「しかし、ごく一部に復興との関係に疑問が生じる事業があるのは否めない」
「限られた予算の中、今後は被災地の復興にむけた予算執行をさらに厳密に行っていきたい」

と回答しているのには、やりきれない思いになった。国の担当者は被災地の痛みが何一つ感じ取れないのではないだろうか。

では、被災地ではどのような支援が今行われているのだろうか。岩手県の大槌町では津波に飲まれ商店街がなくなってしまった。ある男性が、津波に流された自分の飲食店を再建しようと国のグループ補助金(約2,000億円)制度を利用しようとした。彼は商店街の仲間と一緒に復興計画書を出してグループ補助金の申請をしたが見送られてしまった。経済産業省から出た岩手県の予算は150億円だったが、岩手県全体からの申請は255億円(申請数929)だったためだ。このため岩手県は商店街の復興よりも水産加工を経済波及効果に即効性があるとして優先させたためだった。
被災地から遠く離れた岐阜県のコンタクトレンズメーカには申請がおりているのに、被災地で苦しむ彼の申請は見送られた。こんな不条理なことがあっていいのだろうか。
そしてこれは岩手だけでなく、岩手・宮城・福島の3県で4,525の申請があったが2,704件は認定されなかった。つまり約60%もの申請が見送られたのだという。
経済産業省はこの制度立ち上げの段階で、これほどのニーズがあると予想できなかったといってる。すぐにでも被災地復興の予算を増額するべきではないか。
宮城県気仙沼市では31の医療機関のうち21が津波で流され、震災前の状態に復旧したのは7つである。気仙沼市で15年間地域医療を支えてきた村岡正郎医師は、津波で診療所を流されてしまったが、地元に残ることに決めた。村岡医師は患者さんを訪問診療(一ヶ月に120件以上も!!)し、被災地域の患者さんの健康を支えている。厚生労働省の医療分野での復興予算でもっとも多いものは、720億円の地域医療再構築事業である。しかし、これは中長期的な医療の復興を目的に使われており、それとは別に医療機関の緊急的復旧に使われたのは約160億円の補助金である。この補助金が被災した医療機関を再建するためのものであるが、公立病院が主な対象で、個人である村岡医師のような町医者はその対象になることは難しい。村岡医師は新しい診療所を別の土地に作ったが建物だけで9,000万円かかったという。ただし、村岡医師の場合は、市の委託を受けて休日診療をおこなっていたため、補助の対象となった。しかし、補助金はかかった費用9,000万円の約1/6の1,470万円である。またこの補助金は建物の購入のみにしか当てることが出来ず、医療設備(5,000万円)の購入に当てることが出来ない。結局、ほとんど自己負担で個人病院を建て直すしかないのである。震災前のローンや現在の新しい診療所のローンを合わせるとおよそ2億円。
これだけ多くの負担を個人に背負わせて、病院を再建するのは大変困難だ。実際に、気仙沼市では6割を超える医療機関は元の規模に復旧できないままである。
また、病院再建をあきらめて気仙沼市を離れていってしまう医者もいる。
被災地と遠く離れたところで、
2.豊かで活力ある日本全体の再生
という名目で多くの予算が使われる一方で、被災地に残る商店を再建したいと願う人たちや地域医療を支えている医者には、十分な予算分配がされない。
ぼくは復興のための所得税増税(納税額に2.1%上乗せ。25年間)には同意するが、この国の作った復興予算分配には同意することが出来ない。被災地復興のための予算分配が実はコンタクトレンズ工場や刑務所、反捕鯨団体対策に流れていては同意など出来ない。この国の再分配のあり方は、なぜ本当に救われるべき人の所に行かないのだろうか?

このほか番組では被災地での瓦礫の処理費用に地域自治体によって大きな差が出ていることが報じられていた。NHKによると瓦礫の管理費用は
東松山市 約 5億円
石巻市  約40億円
と大きな違いがある。東松島市では現場で最初から分別してから収集置き場に持ってくるため、お金がかからないそうだ。しかし、それをやらなかったほかの自治体では高くなる。さらに石巻市では瓦礫処理業者からの作業報告書には、違う現場なのに同じ写真が何枚も使い回しされていたり、いい加減な報告書だった。業者側もいい加減だが、役所も人手が足らず十分なチェックが出来ていないためだった。
つまり水増し請求もあり、石巻市は業者の請求を今見直しているという。

以上が番組の概要だが、ぼくはこの番組を見て思い出したことがひとつある。
震災直後に被災地入りした人がある掲示板のコメントに「被災地ではもの(水・食料)がなく、みんなで分け合っているのに、テレビを見ていたら東京ではものを取り合っているという。それを見て悲しくなった」と書き込みがあった。ぼくも同じ思いだった。
苦しいときには、もっとも苦しい人にこそ多くを再分配するべきだ。

【Takky@UC】

[編集部より]
記事へのご意見ご感想をコメント欄にお寄せ下さい。
当Nabe Party では mixi「鍋党コミュ」ないで税政に関するさまざまな議論を活発に行っております。その成果結果(OUTPUT)を当ブログに掲載しています。ぜひあなたもmixi「鍋党コミュ」に参加して、一緒に議論に参加してみませんか?小さな政府論はおかしいと思う人は、ぜひご参加ください。そして現在の「強者への逆再分配税制」を改めていきませんか?お待ちしております。
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Re:自己紹介

社会民主主義戦線さん、こんにちは。
自己紹介ありがとうございます。
鍋ブログの編集をしているTakky@UCです。
世間では「増税」vs「減税」という変な流れを作っている人たちがいますが、そのような二元論ではなく、社会民主主義戦線さんの言われるように「再分配」の中身についてもっと議論を尽くすべきだとぼく個人は思います。
今後ともよろしくお願いいたします。

自己紹介

はじめまして。
社会民主主義戦線と申します。
有益な情報日ごろ参考にさせていただいております。
私たちは増税を介して福祉社会を実現することを目的としている団体です。
私たちは一旦全階層から増税して、その後大胆な再分配を行うことを一つの方法として採用しています。また、高齢化社会の進展の中にはおいては消費税の増税もまた必要であると考えています。伝統的な左派とは少々一線を画すかもしれませんがよろしくお願いします。

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