法人税(2) 法人税はなんのためにあるか?
前回は、日本の法人税や企業負担とは何か一般的なことを中心に書いてみた。
今回は自分の立場で書いてみようかと思う。
ぼくが製造現場のエンジニアの立場から見ておかしいと思うのは以下のことだ。
・インフラが不安定な中国やインド(財務省のページには載ってないが)の法人税率と日本をくらべることに意味はあるか?
先日、中部電力の瞬間的な停電により東芝半導体工場が停止した。東芝ではかなりの被害が出たらしい。しかし日本でこうした停電事故は実は珍しいものだ。もし、これが停電の多い中国やインドだったら、企業は停電対策に無停電電源(UPS:Uninterruptible Power Supply)がいる。その結果、企業は余計な設備投資をすることになってしまう。
言い換えれば企業にとって法人税とはショバ代ではないだろうか?そしてもう一つ大事なのは企業による地域雇用である。企業にはその地域へのショバ代として税金を収める責任と雇用の社会的責任があるのではないだろうか?
しかし日本の大企業の現状を見ると、雇用は安い派遣労働者を使い捨て、ショバ代としての法人税は減税すると言う。さらに法人税の申告実績で黒字申告割合が3割を下回っている(国税庁)なかでの法人税減税は、数少ない強者の大企業をますます強くしているだけではないか?
今現在の製造業(メーカ)の現場と言うのは、多くの工程を自動化しようと必死である。たとえばシャープ堺浜工場などはかなり無人化が進んでいると聞く。
しかし、こうした優れた工場と言うのは、一握りの株主や会社役員の懐を肥やすためにあるのではなく、社会全体のためにあるべきだろう。そのために「法人税」があるのだ。
分離課税による不公平な税制については、このブログで先日指摘されたばかりである。
ぼくは製造現場のエンジニア(本当に工程の自動化プロジェクトに参加しているのだが)としての立場から、企業とは株主や役員などの一握りの利益よりも社会全体の幸福のためにあるべきだと思っている。自分のした仕事は、日本の社会全体のために役立ってほしいというのが本音だ。しかし現状はかなり複雑なようだ。それは以下のニュースから見て取れる。
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半年で1兆円!中国系投資ファンド、日本の大企業買いあさり
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20101227/ecn1012271244000-n1.htm
もし法人税減税した分が、単に中国系投資ファンドを潤しているだけだとしたら、「法人税減税」を支持した人たちはどう思うのだろうか?これでも「法人税減税は日本のためになる!」と彼らは言い張るのだろうか?菅総理が経団連に法人税減税と引き換えに雇用をお願いしてもそっぽを向かれてしまったではないか。経団連は法人税5%(1.5兆円分)減税実施後に、日本の社会のなにに効果があったのか数値的にはっきりさせて国民に報告するべきだ。
【Takky@UC】
[編集部より]
前回から3回連続で、Takky@UCさん執筆の法人税に関するエントリを掲載しています。最終回は2月4日(金)に掲載予定です。ご期待ください。
今回は自分の立場で書いてみようかと思う。
ぼくが製造現場のエンジニアの立場から見ておかしいと思うのは以下のことだ。
・インフラが不安定な中国やインド(財務省のページには載ってないが)の法人税率と日本をくらべることに意味はあるか?
先日、中部電力の瞬間的な停電により東芝半導体工場が停止した。東芝ではかなりの被害が出たらしい。しかし日本でこうした停電事故は実は珍しいものだ。もし、これが停電の多い中国やインドだったら、企業は停電対策に無停電電源(UPS:Uninterruptible Power Supply)がいる。その結果、企業は余計な設備投資をすることになってしまう。
言い換えれば企業にとって法人税とはショバ代ではないだろうか?そしてもう一つ大事なのは企業による地域雇用である。企業にはその地域へのショバ代として税金を収める責任と雇用の社会的責任があるのではないだろうか?
しかし日本の大企業の現状を見ると、雇用は安い派遣労働者を使い捨て、ショバ代としての法人税は減税すると言う。さらに法人税の申告実績で黒字申告割合が3割を下回っている(国税庁)なかでの法人税減税は、数少ない強者の大企業をますます強くしているだけではないか?
今現在の製造業(メーカ)の現場と言うのは、多くの工程を自動化しようと必死である。たとえばシャープ堺浜工場などはかなり無人化が進んでいると聞く。
しかし、こうした優れた工場と言うのは、一握りの株主や会社役員の懐を肥やすためにあるのではなく、社会全体のためにあるべきだろう。そのために「法人税」があるのだ。
分離課税による不公平な税制については、このブログで先日指摘されたばかりである。
ぼくは製造現場のエンジニア(本当に工程の自動化プロジェクトに参加しているのだが)としての立場から、企業とは株主や役員などの一握りの利益よりも社会全体の幸福のためにあるべきだと思っている。自分のした仕事は、日本の社会全体のために役立ってほしいというのが本音だ。しかし現状はかなり複雑なようだ。それは以下のニュースから見て取れる。
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半年で1兆円!中国系投資ファンド、日本の大企業買いあさり
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20101227/ecn1012271244000-n1.htm
----中国系とみられる2つの投資ファンドが、日本株を大量購入し、今年9月末の段階でNECや日立製作所、全日空、東京電力など東証1部上場85社で10位以内の大株主となっていたことが27日、分かった。85社分の保有株の総額は約1兆5000億円に達し、4~9月の半年間に1兆円程度を買い増した。これほど多数の企業の大株主になっている中国系ファンドの存在が明らかになったのは初めて。
割安な日本株の値上がりを期待した純投資が目的とみられる。経済成長で拡張する“チャイナマネー”は日本株投資のほか、企業買収や不動産取得を活発化している。
(中略)
中国事情に詳しいビジネス・ブレークスルー大学の田代秀敏教授は「銘柄を分析すると、基幹産業や優れた技術、ブランド力を持つ企業がほとんどで、戦略的に買い進めている印象を受ける」と話している。
もし法人税減税した分が、単に中国系投資ファンドを潤しているだけだとしたら、「法人税減税」を支持した人たちはどう思うのだろうか?これでも「法人税減税は日本のためになる!」と彼らは言い張るのだろうか?菅総理が経団連に法人税減税と引き換えに雇用をお願いしてもそっぽを向かれてしまったではないか。経団連は法人税5%(1.5兆円分)減税実施後に、日本の社会のなにに効果があったのか数値的にはっきりさせて国民に報告するべきだ。
【Takky@UC】
[編集部より]
前回から3回連続で、Takky@UCさん執筆の法人税に関するエントリを掲載しています。最終回は2月4日(金)に掲載予定です。ご期待ください。
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