狙われる医療、介護保険制度
日本生命社長 筒井義信氏の発言
「人口減少、少子高齢化で日本の保険市場は限界に達しているなどと言われがちですが、私は縮小一辺倒ではないと考えています。」
「理由は2つ。1つには、国民の保障ニーズの多様化に対応することで可能性は広がります。
~中略~
もう1つは、社会保障制度の見直しです。効率化が進み、自己責任、自助努力を求められれば、補完する民間保険の役割が高まります。」
~中略~
要するに社会保障制度の見直しをビジネスチャンスとしてもうけの種にしようとする話です(社会保障制度の見直しを政府に要求する等) 。
更に財界団体の要求が露骨で一般庶民に負担増と給付減を要求しています。
国家財政の危機感を煽りますが、こうした財政運営を自ら要求してきた事にほおかむりして「財政健全化が喫緊の課題である。」などど無責任な事を言っています。
更に経済同友会は3月28日政府の社会制度改革国民会議に向けた意見書を発表資料には数字やグラフが出てくるが、それも自ら都合の良い解釈と引用で読む上で注意がいる。
「社会保障制度改革国民会議」に向けての意見書
~国民に負担増と給付減の選択肢の提示を!~
「国民会議」には、わが国が目標とする社会保障制度の姿を明確化し、実現のためには負担増と給付減という「苦い薬」を飲まなければいけないことを国民に示し、理解を得ることが求められており、この点は必ず達成しなければならない。
~中略~
*介護保険で「要支援「要介護1,2」への給付を抑制し、利用料(現在1割負担)を2割に上げる事
*医療保険で70歳以上の患者負担(現在1割負担)3割に上げる事などを求めています。
*こうした「改革」を行えば「貯蓄に回していたお金が市場に出回り、経済を刺 激する事も考えられる。社会保障改革は経済成長の一翼である」
つまり、社会保障に頼れなくなった国民が営利企業や民間保険会社の介護・医療商品を買う様に成り、市場にお金が出回ると言う。
何ともむき出しの利益追求姿勢で国民にとって大切な医療や介護など眼中に無い。これはTPPで米国が要求している事を先取りする様な物です(TPPはもっと酷いですが)。しかしお金持ちの国民ばかりでは無い、お金の無い国民は介護・医療も受けられずのたれ死にせよというのか?
同じく「日本経団連」も「利用者が求める多様なニーズ(一部の高度医療)については、民間保険に委ねるなど、公的保険に過度に依存するあり方を見直すよう検討を進めるべきである。」等と云っています。
要するに自己責任論を強化して介護も医療も自分の責任で何とかしなさいよ!と言う事です。
参考リンク
社会保障制度改革のあり方に関する提言
一般社団法人 日本経済団体連合会
更に昨年自公民3党の密室談合で強行され成立した「社会保障制度改革推進法」で公的介護、医療保険の給付対象となる「範囲の適正化」(要するに縮小)を計ると明記、安倍政権で現在、各省庁が同時に検討している「改革」を見てみると財界の求めに忠実に応じている事が判る。
「産業競争力会議」(3月29日)は「健康長寿社会の実現」と題した報告書を公表。
「健康寿命伸長産業」を確立する目標を掲げる。
同会議は日本経済再生本部の下に置かれ「民間投資を喚起する成長戦略」の具体化を課題とする。
同会議の議員は12人中8人が民間企業の役員で報告書は公的介護、医療の切り捨て計画となっていて民間企業の市場拡大計画とも成っている。
参考リンク
・産業競争力会議(第5回)議事次第
・健康長寿社会の実現(要旨)
その内容の一部と負担増例
*介護保険の利用料1割「重度にマッチさせて変える」とし、軽度のデイサービスは全額負担、デイケアは3割負担。
*「民間営利法人が自由に展開出来る部分をもっと増やす」「軽度者」へのサービスは公的保険の対象から外して「民間保険(自己負担)でカバーする」方向
*公的医療保険でも「疾病の種類によって自己負担割合を変える」とし「風邪は7割負担」と例示。少額の治療費については全額負担」、70歳以上(75歳以上も含む)の患者負担(現在1割)を2割負担へ倍増。
内閣府の規制改革会議も「再生医療」(臓器や組織を再生させる)に混合診療を拡大させる事を検討中。混合診療と保険外診療の併用を認める物で、保険診療に含めて行くべき医療が保険外にとどめ置かれる危険!
保険診療と保険外診療併用する「保険外併用療養費制度」の積極的活用。
安倍政権が検討を進めているのが、民間保険会社の介護、医療商品の拡大(TPP で米国の参入の下準備とも思える)。
金融庁は民間保険会社の新商品を認める方針を金融審議会の作業グループで表明。
5~6月にも報告書まとめる予定で、新商品は保険会社の提携事業者が提供する介護、医療の優先的利用などを売りにする。
明治安田生命 松尾憲治社長の発言
「週間東洋経済」2012-12-08日号
「公的介護保険は介護に必要な最低限のサービスを提供する程度で、それだけでは足りない」「そうした時の資金を拠出する為に我々の商品を利用してはどうですかと提案している」
同氏は生命保険協会の会長で同社は金融審議会の作業グループに常時出席し、規制緩和を求めている。
政府自ら民間保険会社の商品販売のバックアップする形で、裏を返せば公的介護保険は介護に必要なサービスが全く足りないと言う事、その事を更に推進する事で民間企業に利益をもたらす物だ。
記事最後に金沢大学の「横山壽一教授」の談話で「健康関連産業の成長を邪魔する公的保険の存在を、何とか堀り崩したいという経済界の執念は強烈です。参議院選挙後に安倍政権が大きな制度改悪を打ち出す危険はある」と指摘。
公的保険の縮小は全国民に影響を及ぼし、特に低所得者への打撃は深刻だと横山教授。
「民間保険の保険料を負担する能力のある人しか、十分な介護、医療を受けられなくなる」と心配します。
こうした動きはTPPで米国の保険会社の参入前に国内民間保険会社の立場を有利にして置きたいとと言う思惑としか取れない。そして日本の医療崩壊を加速させる事に成る。
このエントリは新聞赤旗2013/04/16 の記事を参考に書きました。
【J-Blue】
[編集部より]
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