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タックス・ヘイブン

カリブ海に浮かぶ、ケイマン諸島。ここはタックス・ヘイブンとして有名だ。ケイマン諸島には法人税や所得税というものがまったくない。このような利点を求めて、世界中から企業が集まっている。
これはNHKで2013年5月27日放送の以下の番組内容である。

“租税回避マネー”を追え ~国家vs.グローバル企業~

“租税回避” 国家と企業の攻防

グローバル企業による租税回避は世界に何をもたらすのか?タックスヘイブン研究の第一人者 ジョン・クリステンセン(経済学者)は、租税回避は税金によって支えられる国家や市民の生活を揺るがしかねないと指摘している。

ジョン・クリステンセンのインタビューから

租税回避をしているのはスターバックスだけではありません。グーグルやアマゾンなどあらゆるグローバル企業が行っています。租税回避をしている企業は市民が払った税金で提供されるインフラや行政サービスをただで使っています。食い物にしていると言っても過言ではありません。グローバル企業は民主主義国家を脅かす存在になっているのです。


青山学院大学院 教授 三木義一さんのインタビューから

アナウンサー:企業にとっては、国際的に企業活動する。そのために最大の利益を追求するということは、企業活動としては認められているという主張もありますね?

三木教授:おっしゃると通りです。基本的に企業がビジネス活動を行って、出来るだけ多くの利益を集めたいと思うのは、当然のことだと思います。ただ、私どもの社会は、法人という形で企業活動を認めたのは何のためなのか?と考えますと、それはビジネスを円滑にしてもらうためですよね。ビジネスを円滑にして大いに利益を上げていただいて、人々を雇用していただいて、税も負担し社会に貢献してもらいたい。そういう意味で私どもが法人による企業活動を認めてきたわけです。しかし、今問題にしているのはビジネスではなくて、ビジネスによって得た利益を意図的に減らすためだけを目的とした特別な行動です。このようなものを私たち社会が法人に対して認めているかというと、それはきわめて疑問です。

アナウンサー:租税回避をすることで、企業に体力を蓄えて、それを新たな投資に向けたり雇用に結び付けたりして、社会貢献をしているのだという主張がありますが、これについではどう考えていますか?

三木教授:大いに社会貢献していただきたいと思います。そのためにも、それぞれの地域からさまざまな利益を得て企業利益が上がってきているわけですから、その地域に還元してその地域を安定したものになるようにしてこそグローバル企業にとっても大切なのではないでしょうか。

アナウンサー:ただ、国境をまたいで活動している企業に対して、一国の取り組みだけで課税するのは現実的には難しいということですね。

三木教授:非常に難しいですね。今の課税制度というのは、それぞれの国が独立して行います。そうしますと全体像が見えません。こういう租税回避というのは国をまたいで行っていますから、全体像が見えません。そこである国が思い切って課税しても、裁判で争いますと国としては負けてしまうことも少なくありません。


この後番組ではロンドンにある国際タックスシェルター情報センター(JITSIC)を取材する。JITSICの目的は、国際的な租税回避の全体像を解明し課税の可能性を探ること。アメリカ、ドイツ、中国などを含めた9カ国が加盟している。
租税回避の仕組みを番組では紹介していている。それは日本にある会社からヨーロッパのある法人にコンサル料として多額の送金をしていた。しかし、その国の法人税率は高く、租税回避に使われた形跡はなかった。しかし、その法人は事業組合と呼ばれる特殊な形態をとっていた。そして、その国では事業組合は非課税だった。その後資金はタックスヘイブンにある国の複数の会社(実は日本の子会社)に流れていた。法人税率が高い国をあえて通して、資金の流れを見えにくくし、子会社に利益を移していた。
画面は再びスタジオに戻る。

アナウンサー:租税回避に対抗するには国際的にどんな体制や制度が必要でしょうか?

三木教授:いままでは一国が別々に課税していました。情報もあまり交換がありませんでした。でも、まずは情報を公開しあって、各国が協力し合うことが大事です。その上で将来的には税制の基本的なところは同じにしていくということが必要です。税の仕組みが違うからそれを(グローバル企業に)利用されるわけです。さらに言えば税率も同じにしていくことが国際的に合意してもよいのではないでしょうか。そういうことが出来ると、遠い将来には国際的に課税を協力し合って行う国際機関が出来るのではないでしょうか。これは人類の課題かもしれません。

アナウンサー:そういった国境をまたいだ企業に対しては、制度も国境をまたいだものが必要になってくるということですね。ただ、今後もグローバル化の流れは加速していくと、租税回避も増えていく。税収はどんどん減っていくことにもつながりますね。そうしますとどのようなことがおきてきますか?

三木教授:まず、いま企業を各国が誘致するために法人税の割引をしてます。どんどん税率が下がっていく。そうしますと法人税が取れなくなっていきます。その結果税金を負担するのはだれかというと、国境を利用できない庶民たちということになります。そしてこれは私たち民主主義社会の危機でもあります。私たちは民主主義という制度を受け入れて、多数決でだれが税金を負担するか決めているわけです。でも、そうやって決めたところが、それをいやな(税負担を受け入れたくない)企業が守らずに国境をまたいで逃げてしまう。そうしますと民主主義の基礎が崩れてしまいます。

アナウンサー:租税回避というと耳慣れない遠い話のように聞こえますけど、これが加速していくとやはり将来社会保障の問題とか福祉の問題に直結してきますね?

三木教授:結局これは国境を利用できる企業や人々は税金を払わないですんで、国境を利用できない人々が税金を出していかなくてはならないということになります。財源が非常に細ります。そうするといろんな社会サービスが出来なくなります。


以上が番組の内容だった。
消費者にとって、良い製品が安く買えるのは喜ばしいことだ。しかし安値の裏には税金をちゃんと払っていないというイカサマがあったら、あなたはその製品を喜んで買うだろうか?
企業はひたすら安値競争を繰り返し、そのためには労働者賃金をたたき租税回避する。このようなグローバル企業の裏の顔に対して消費者はもっと声をあげるべきだろう。

以下は、消費税増税分は、ほとんど法人税減税に消えていってしまったというグラフ。

消費税は19%に増税して、その分法人税は25%に減税して頂戴という身勝手経団連のトンデモ提言より
消費税と法人税

消費税は来年4月に8%にあがり、その先10%にあげる予定だが、それだけではすまない。もちろんヨーロッパのような福祉国家は消費税は高いが、だからと言って法人税が低いというわけではない。税金をみんなで負担しあと言う意味での消費税は意味がある。しかし、そのぶんグローバル企業は税金逃れをしていいというわけではないことは、この番組が十分説明してくれている。

以下の数字は、有価証券報告書によって作成されたもので、日本の企業の株式の多くを外国人投資家が保有していることを表している。

株主も「多国籍化」より
日立製作所  38.0%
ソニー    36.3%
武田薬品   24.9%
三井不動産  47.7%
日産自動車  68.6%

つまり、これらの日本の大企業は、いまや日本人のものではなくなっている。もちろん働いている中心は日本人だが、いくら日本人が汗水流して働いたところで、その利益は法人税という形で日本国に還元されない。法人税減税した分は外国人投資家に流れるだけに見える。さらに、こうした大企業で電機メーカは16万人ものリストラをおこなって日本人の首を容赦なく切っている。
余談だが、もちろんこうした外国人投資家の中には、中国も介入しており気になるところもある。

尖閣で関係悪化後も3兆円投資 中国政府系ファンド、日本株買い継続

このようにグローバル企業は税金も雇用も破壊しようとしている。この番組の結論でもある、グローバル企業に対する国際的な課税の取り組みはすぐにでも整備する必要がある。

【Takky@UC】

[編集部より]
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テーマ : 税金
ジャンル : 政治・経済

無期雇用労働者を増やすはずの「改正労働契約法」がなぜ「5年有期雇い止め促進法」になってしまうのか

この4月から、連続5年を越えて働いた有期雇用労働者が申請すれば、会社はその人を無期雇用にしなければならない「改正労働契約法」が施行されました。一見、これで非正規の労働者も雇い止めを心配することなく働き続けられるようになると思えますが、実はこの法案には一部独立系労組などが以前から指摘していた大きな抜け穴がありました。

「世界」5月号が「改正労働契約法」を取り上げています。「ルポ・労働契約法は『改正』されたのか?」
最新の総務省調査によると、全国の有期雇用労働者は、全就業者数6228万人の23%にあたる約1410万人にのぼります。今回の労働契約法改正はこれほど多数の人に影響を与えるというのに、その問題点があまり理解されていないようです。
「世界」に掲載されたルポを中心にまとめながら「改正労働契約法」の問題点、その及ぼす影響を考えてみました。

まず、問題の「大きな抜け穴」とは多数の有期雇用労働者を無期雇用にしたくない企業が5年以内で雇い止めにするのではないかということです。
この「改正労働契約法」は昨年7月末参院厚生労働委員会で採択されたのですが、大量の雇い止めを生み出す危険性があるというのに審議に費やした時間はわずか2時間、反対したのは共産・社民のみで採決されてしまったのです。当時から独立ユニオンのひとつ「首都圏青年ユニオン」の河添誠・青年非正規労働センター事務局長などはこの「改正労働契約法」は実は「5年有期雇い止め促進法」だと警鐘を鳴らしていましたが、やはりその懸念は当たってしまったようです。
例えば、法律の施行前に先手を打ち4年雇い止めを行ったのが、全国チェーンのコーヒーショップ・シャノアール(ベローチェ)。国立大学である大阪大学も有期雇用教職員の通算雇用年数を原則5年以内とし、教育研究の遂行上必要と大学が特別に認める場合のみ5年以上雇用すると事実上の5年雇い止めを画策しています。知人が長年契約社員として勤務しているある企業でも、明らかに改正法の影響で雇い止めが始まったそうです。

なぜこんな事態になってしまったのか。「改正労働契約法」自体に大きな欠陥があるからです。この法の3本柱は18・19・20条とされています。有期労働者が契約更新にもつ「期待権」に合理的理由があれば企業は一方的な雇い止めはできないとした19条、正社員・有期雇用労働者問わず同一労働・同一賃金など労働条件の平等を定めた20条は正当なのですが、問題は18条です。18条は、勤続5年を越えた有期雇用労働者を無期に転換できるとしており、一見無期雇用を増やしていくように思えますが、現実はその通りにいかないことが労働現場の実状を知る弁護士などから指摘されています。
まずは、無期雇用になるためには労働者自らがその意思表示をしなければならないこと。現実には解雇を恐れて言えない人が多いのではないでしょうか。本来は当人の意志と無関係に5年を経過したら自動的に無期雇用にすべきなのです。
次に「クーリング期間」問題があります。連続3年間働いても、その後に6ヵ月以上の空白期間(クーリング期間)があると、再びゼロから出発になってしまい、これを繰り返せば、いつまでも有期雇用労働者にされてしまうのです。雇用期間は連続かを問題にせず通算で考えるとしなければ、無期雇用を増やしたくない企業は3年で雇い止めとするような措置をとるでしょう。

今回の法改正にあたって参考にされたのは韓国の制度でした。韓国では2007年、「非正規職保護関連法」が施行。2年を越えて働けば、無期契約になったとみなされる。勤続5年越えを条件とした日本より、更に有期労働者に有利な制度に思えますが、2年未満で雇い止めとなった労働者が多数出たという事態が報告されています。更に、経営側は、正規職と分けて「運営職」「準運営職」「無期契約職」と新たな区分を次々と作り巧妙な分断工作を行いました。ちなみに韓国では、無期転換できた人も大多数は非正規と正規の中間という意味で「中規職」と呼ばれ、賃金はじめ正規職とは待遇面で大きく差を着けられたままです。
韓国でも日本でも、無期雇用労働者を増やすことが目的のはずの法改正によって、かなりの有期雇用労働者が解雇されてしまうという本末転倒な事態になっているのですが、その原因は改正法が労働者を使い捨てにしたい企業のために姑息な抜け道を用意したものだったことにあります。
ところでこの件でちょっと見直したのが日本マクドナルド。改正法に則り、全ての有期労働者を無期にするとのこと。同社は「これまでも無期限に契約更新をしてきたから、実質無期だった。無期にしても、作業量も賃金も変わるわけではないから」としているそうです。しかし、これは例外的で、現実にはかなりの有期労働者が改正法によって解雇される危険性が高いのです。なんのための改正法なのでしょうか。

そもそも、根本の問題は「有期労働という労働形態はあっていいのか」ということなのです。子育て中などの理由で労働者自らがパートタイム労働を望むというケースはありえますが、有期雇用そのものは労働者にとってなんのメリットもありません。ヨーロッパなどでは、基本的に無期で有期労働者の雇用の際には、なぜ有期でなければならないかの理由を求められる「入り口規制」があるのに、日本ではこうした規制については議論すら見送られたままです。

労働問題に詳しい識者は、改正法に関しての労働運動のスタンスとしては、改正法を最大限に活用して労働者の権利を拡大する、または不十分な法の再改正を要求するというふたつの方法があると指摘しています。首都圏青年ユニオンは後者の道を選ぶとしていますが、まだまだそうした姿勢を明確にしている労組は少ないようです。
前述のシャノアール(ベローチェ)には組合がなかったので、女性パート社員が首都圏青年ユニオンに持ち込み、粘り強く団体交渉を行った結果、当初会社が通告した今年3月解雇を3ヵ月延長させる譲歩を引き出しました。もちろん、パート社員やユニオンはここで妥協する気はなく、雇い止め撤回を目ざし交渉を続けるとのこと。「それでも労組の団体交渉があったからこそ、この譲歩を引き出せた。逆に考えれば、労組のない職場では容赦なく雇い止めが進むでしょう」「この問題を重大視する労組はあまりない。私たちだけで1410万人への対処はできない。多くの労組に立ち上がってほしい」と河添さんは語っています。

【ぽむ】

・参考リンク(PDFビューアがないと見れません)
労働基準法施行規則等の一部改正について

[編集部より]
記事へのご意見ご感想をコメント欄にお寄せ下さい。このエントリはmixiの「鍋党コミュ」のぽむさんの投稿です。
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テーマ : 政治・経済・社会問題なんでも
ジャンル : 政治・経済

狙われる医療、介護保険制度

安倍政権は「成長戦略」に名を借りて医療、介護保険の範囲を大幅に縮小し民間保険会社に新たなビジネスチャンスを与える動きが加速している。

日本生命社長 筒井義信氏の発言

「人口減少、少子高齢化で日本の保険市場は限界に達しているなどと言われがちですが、私は縮小一辺倒ではないと考えています。」
「理由は2つ。1つには、国民の保障ニーズの多様化に対応することで可能性は広がります。
~中略~
もう1つは、社会保障制度の見直しです。効率化が進み、自己責任、自助努力を求められれば、補完する民間保険の役割が高まります。」
~中略~


要するに社会保障制度の見直しをビジネスチャンスとしてもうけの種にしようとする話です(社会保障制度の見直しを政府に要求する等) 。

更に財界団体の要求が露骨で一般庶民に負担増と給付減を要求しています。
国家財政の危機感を煽りますが、こうした財政運営を自ら要求してきた事にほおかむりして「財政健全化が喫緊の課題である。」などど無責任な事を言っています。

更に経済同友会は3月28日政府の社会制度改革国民会議に向けた意見書を発表資料には数字やグラフが出てくるが、それも自ら都合の良い解釈と引用で読む上で注意がいる。

「社会保障制度改革国民会議」に向けての意見書
~国民に負担増と給付減の選択肢の提示を!~

「国民会議」には、わが国が目標とする社会保障制度の姿を明確化し、実現のためには負担増と給付減という「苦い薬」を飲まなければいけないことを国民に示し、理解を得ることが求められており、この点は必ず達成しなければならない。
~中略~
*介護保険で「要支援「要介護1,2」への給付を抑制し、利用料(現在1割負担)を2割に上げる事
*医療保険で70歳以上の患者負担(現在1割負担)3割に上げる事などを求めています。
*こうした「改革」を行えば「貯蓄に回していたお金が市場に出回り、経済を刺 激する事も考えられる。社会保障改革は経済成長の一翼である」


つまり、社会保障に頼れなくなった国民が営利企業や民間保険会社の介護・医療商品を買う様に成り、市場にお金が出回ると言う。
何ともむき出しの利益追求姿勢で国民にとって大切な医療や介護など眼中に無い。これはTPPで米国が要求している事を先取りする様な物です(TPPはもっと酷いですが)。しかしお金持ちの国民ばかりでは無い、お金の無い国民は介護・医療も受けられずのたれ死にせよというのか?

同じく「日本経団連」も「利用者が求める多様なニーズ(一部の高度医療)については、民間保険に委ねるなど、公的保険に過度に依存するあり方を見直すよう検討を進めるべきである。」等と云っています。
要するに自己責任論を強化して介護も医療も自分の責任で何とかしなさいよ!と言う事です。

参考リンク
社会保障制度改革のあり方に関する提言
一般社団法人 日本経済団体連合会


更に昨年自公民3党の密室談合で強行され成立した「社会保障制度改革推進法」で公的介護、医療保険の給付対象となる「範囲の適正化」(要するに縮小)を計ると明記、安倍政権で現在、各省庁が同時に検討している「改革」を見てみると財界の求めに忠実に応じている事が判る。

「産業競争力会議」(3月29日)は「健康長寿社会の実現」と題した報告書を公表。
「健康寿命伸長産業」を確立する目標を掲げる。
同会議は日本経済再生本部の下に置かれ「民間投資を喚起する成長戦略」の具体化を課題とする。
同会議の議員は12人中8人が民間企業の役員で報告書は公的介護、医療の切り捨て計画となっていて民間企業の市場拡大計画とも成っている。

参考リンク
・産業競争力会議(第5回)議事次第
・健康長寿社会の実現(要旨)

その内容の一部と負担増例
*介護保険の利用料1割「重度にマッチさせて変える」とし、軽度のデイサービスは全額負担、デイケアは3割負担。
*「民間営利法人が自由に展開出来る部分をもっと増やす」「軽度者」へのサービスは公的保険の対象から外して「民間保険(自己負担)でカバーする」方向
*公的医療保険でも「疾病の種類によって自己負担割合を変える」とし「風邪は7割負担」と例示。少額の治療費については全額負担」、70歳以上(75歳以上も含む)の患者負担(現在1割)を2割負担へ倍増。

内閣府の規制改革会議も「再生医療」(臓器や組織を再生させる)に混合診療を拡大させる事を検討中。混合診療と保険外診療の併用を認める物で、保険診療に含めて行くべき医療が保険外にとどめ置かれる危険!
保険診療と保険外診療併用する「保険外併用療養費制度」の積極的活用。

安倍政権が検討を進めているのが、民間保険会社の介護、医療商品の拡大(TPP で米国の参入の下準備とも思える)。
金融庁は民間保険会社の新商品を認める方針を金融審議会の作業グループで表明。
5~6月にも報告書まとめる予定で、新商品は保険会社の提携事業者が提供する介護、医療の優先的利用などを売りにする。

明治安田生命 松尾憲治社長の発言
「週間東洋経済」2012-12-08日号

「公的介護保険は介護に必要な最低限のサービスを提供する程度で、それだけでは足りない」「そうした時の資金を拠出する為に我々の商品を利用してはどうですかと提案している」


同氏は生命保険協会の会長で同社は金融審議会の作業グループに常時出席し、規制緩和を求めている。

政府自ら民間保険会社の商品販売のバックアップする形で、裏を返せば公的介護保険は介護に必要なサービスが全く足りないと言う事、その事を更に推進する事で民間企業に利益をもたらす物だ。
  
記事最後に金沢大学の「横山壽一教授」の談話で「健康関連産業の成長を邪魔する公的保険の存在を、何とか堀り崩したいという経済界の執念は強烈です。参議院選挙後に安倍政権が大きな制度改悪を打ち出す危険はある」と指摘。
公的保険の縮小は全国民に影響を及ぼし、特に低所得者への打撃は深刻だと横山教授。
「民間保険の保険料を負担する能力のある人しか、十分な介護、医療を受けられなくなる」と心配します。

こうした動きはTPPで米国の保険会社の参入前に国内民間保険会社の立場を有利にして置きたいとと言う思惑としか取れない。そして日本の医療崩壊を加速させる事に成る。

このエントリは新聞赤旗2013/04/16 の記事を参考に書きました。

【J-Blue】

[編集部より]
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テーマ : 政治・経済・社会問題なんでも
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「金持ちには応分の負担を、そして労働者には適切な賃金を」(後編)

前回に引き続き

ポール・クルーグマンの「高所得者増税」論文を全文公開「金持ちには応分の負担を、そして労働者には適切な賃金を」

を読み解いていく。

5.経済的な正義と成長の両立は不可能ではない

しかし、ここに至る途中で、われわれは大事なことを忘れてしまった。それは、経済的な正義と経済の成長の両立は不可能ではないということだ。

1950年代のアメリカは、金持ちに応分の負担をさせ、労働者には適切な賃金と手当を手に入れる力を与えた。しかし今と当時の右翼のプロパガンダに反し国は繁栄した。そして今、われわれはまた同じ事ができるのである。


ポール・クルーグマンが言うには、昔の経営者はちゃんと応分の税金を払っていたし、労働者を大事にしていた。
現代はどうかといえば、ちょっと極端な例かもしれないが、最近こんなニュースが注目を集めた。

税金払うのはバカ…逮捕の「丸源」社長が知人に

 法人税法違反容疑で逮捕された「丸源」(東京都中央区)社長の川本源司郎容疑者(81)は、米経済誌で「億万長者」と紹介される一方、「税金は納めたくない」と公言してはばからなかった。
「税金なんか知ったこっちゃない。そんなの払うのはバカだ」。50年来の知人は、川本容疑者がいつもそう話すのを耳にしていた。


こういう経営者はどんどん捕まえていってほしい。まったく功徳のかけらもない。

ここから先は、ぼくの私見でありポール・クルーグマンがそう言っているわけではないので注意してほしい。
ぼくが思うには、大戦争による悲劇のあとの1950年代のアメリカ人は今より熱心なキリスト教信者であったかもしれない。聖書の言葉で言えば

あなた方の中でいちばん偉い人は、いちばん若いもののようになり、上に立つ人は、仕える者のようになりなさい。(ルカ22-26)


上に立つものは謙遜になりなさいと説いている。
今の企業経営者の何人がこの教えを実践しているだろうか。
今の企業経営者はウォーレン・バフェットのこの名言を見習ってみたらどうかと思う。
「幸運な1%として生まれた人間には、残りの99%の人間のことを考える義務があります」(バフェットの株主総会)

聖書からもうひとつ

この貧しいやもめは、
さい銭箱に入れている人の中で、
だれよりもたくさん入れた。(マルコ12-43)


この「やもめ」というのは、貧しい女性信者であり、他の人と同じようにさい銭箱の行列に並び、さい銭を入れた。彼女の捧げた献金(さい銭)は、金銭的にはごくわずかなものであった。しかし、彼女が貧しい生活を送りながらも神への信仰を失わない善良さがあり、そのわずかな金銭が彼女にとってどれだけ大切なものかをイエスは知って、「だれよりもたくさん入れた」と言った。人間の功徳の値打ちは、どれだけ与えたかではなく、どのような心で与えたかにあるとイエスは説いている(*4)。
先ほどの「税金払うのはバカ…」と言って逮捕された「丸源」社長とこの貧しい「やもめ」を比べてみてほしい。もちろん税金はお布施などではないが、どちらが人間として正しいかちょっと考えればわかると言うもんだ。

再びポール・クルーグマンのこの記事に戻るが、1950年代のアメリカは聖書で説くような誠実・謙遜でありまた勤勉であったのだろう。前回引用した1955年のフォーチューン誌の「重役たちの暮らしぶり」という記事にあるように、彼らは質素であった。ポール・クルーグマンの言う「経済的な正義と経済の成長の両立は不可能ではない」とは、誠実・謙遜でありまた勤勉な時代には国は繁栄したし、いまも同じことを私たちは出来るということだ。

6.日本での賃金格差
安倍内閣のアベノミクスが話題になっているが、これは物価が上がって賃金が上がることが前提だ。しかし経団連は「賃上げを実施する余地はない」(1/21 経営労働政策委員会報告)と言って、まったく賃上げに前向きではない。

麻生財務相、経団連会長に賃上げ強く要請 「労働分配率見直さないと消費伸びぬ」

麻生氏は「この10年間、物価以上に給与が下がった」と指摘。「いきなりベアしろとは言っていない。国家のために企業として一時金やボーナスなどが出てくることを期待している」と語った。

これに対し米倉氏は「企業収益が回復に向かえば賞与・一時金も出せるし、景気は本格回復すれば雇用増大や給与の増大につながると」と表明。


麻生氏と米倉氏のこのやりとりは、「鶏が先か卵が先か?」という感じでまったく話がかみ合っていない。そして麻生財務相が経団連に要求しているのは、一時金やボーナスのある正社員だけの話で、非正規雇用者(パートや派遣)の時給を上げろとか正社員にしろとか具体的に要求しているわけではない。このことひとつ考えても、アベノミクスは物価を押し上げて、非正規労働者の実質賃金を下げてしまうだろう。たまに自分の職場でアベノミクスを歓迎して安倍総理を応援しているパートさんや派遣さんを見かける。しかし、気の毒だが、アベノミクスは彼らの期待とは真逆である。そもそもこういう賃上げの話は、正規・非正規も含めて労働組合がやるべきことだと思うが、そのあたりも日本はおかしな国だ。

誤解だらけ! 日本のお金持ち最新事情
会員制高級ホテルの?パーティ潜入でわかった
富裕層大増殖のウソ・ホント
より

「経済財政白書」によると、資本金10億円以上の大企業製造業の役員報酬の平均は、約1500万円だった01年度からわずか4年で2倍の約3000万円まで跳ね上がった。従業員1人当たりの平均給与は約600万円からほとんど変わっていないにもかかわらずだ。
 富裕層の実態に詳しい甲南大学の森剛志准教授は「その後も役員報酬の上昇傾向は続き、現在は平均で5000万円を突破し、さらにその数を増やしている」と解説する。
 実際、たった1年で1億円以上の役員報酬を得ている役員だけで約360人もおり、数千万円クラスの報酬となれば、その比ではないくらい人数は膨れ上がる。


つまり、経団連の「賃上げを実施する余地はない」というのは、まったくでたらめで、高い役員報酬のおかげで、労働者に金が回らないというだけだ。
サラリーマンの平均年収の推移(下図)を見てもわかるように
平均年収推移

平成9年(1997) 467万円を頂点に、その後はどんどん下がり続け、リーマンショック後の平成21年(2009) 406万円。平成23年(2011) 409万円である。
つまり、日本の経済がここまで悪化した要因のひとつは、アメリカ同様に金持ち減税をやりすぎ、労働者に適切な賃金と手当てを与えなかったことが理由だ。どのような業種であれ、企業は社会の「公器」でなくてはならない。現代の強欲な富豪・経営者の罪は重い。

【Takky@UC】

参考文献
*4:教養として知っておきたい聖書の名言 中井俊巳

[編集部より]
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「金持ちには応分の負担を、そして労働者には適切な賃金を」(前編)

今回のお題は
ポール・クルーグマンの「高所得者増税」論文を全文公開「金持ちには応分の負担を、そして労働者には適切な賃金を」
を読み解いていこうと思う。以下の文を読む前にリンク先のポール・クルーグマンの原文を読んでほしい。

1.質素だった1955年の経営者たちの生活

しかし1950年代には、最高所得層に適用される税率区分の最低税率はなんと91%だったのだ。一方、企業利益への税率は、国民所得比で見ると、近年の2倍だった。そして1960年頃、アメリカ人の上位0.01%は、現在の2倍に当たる70%以上の実効連邦税率を支払っていたと推定される。


昔のアメリカの最高所得層に課せられる最低税金が91%だったというのは、今聞いたらびっくりるくらい高税率だと思う。企業利益への税率も近年の二倍ほどもあった。ここで昔の日本の所得税について調べてみよう。財務省の「所得税の税率構造の推移」によると、昭和49年(1974年)は最高税率75%で住民税と合わせた最高税率は93%というびっくり仰天の税率だった。

「所得税の税率構造の推移」より

住民税と合わせた最高税率
昭和49年(1974)  93%
昭和59年(1984)  88%
昭和62年(1987)  78%
昭和63年(1988)  76%
平成元年(1989)  65%
平成 7年(1995)  65%
平成11年(1999)  50%
平成19年(2007)  50%


このように最高税率はいまや50%まで引き下げられている。
続けてポール・クルーグマンはこう言っている。

当時、富裕なビジネスマンが担わなければならない重荷は、高い税金だけではなかった。彼らは、今日では想像しがたいほどの交渉力を持つ労働者にも向き合わなければならなかったのだ。
1955年、アメリカの労働者の3分の1が組合員で、巨大企業での労使交渉は双方対等であった。企業は単に株主に奉仕するのではなく、一連の『ステークホルダーズ(利害関係者)』に奉仕するもの、という考えが一般的ですらあった。

高い税金と、強権を与えられた労働者に挟まれて、当時の経営者は、前後世代の経営者の水準からみると比較的貧しかった。

1955年にフォーチュン誌は、「重役たちの暮らしぶり」という記事を掲載し、その中で昔に比べて彼らの生活がいかに質素になったかを強調してい る。広大な邸宅、大勢の使用人、巨大なヨットという1920年代の光景は姿を消し、典型的な重役はこじんまりした郊外の家に住み、手伝いはパート、持ち 船、といってもかなり小さなレジャー用ボートを走らせるだけ、という具合だ。


昔のアメリカは税金も高かったし、労働組合も強かった。経営者たちの生活水準は質素だった。
つまり、経営者と労働者は対等なテーブルについていた。
日本でも昔は労働組合がストを行ったりしていたが、今ではそんな話はぜんぜん聞かなくなった。もうひとつは2011年には非正規比率が男20.1%、女54.6%と男女とも過去最高を更新している。非正規労働者が賃金交渉をするのは本当に厳しい話だ。

2.「社会主義」というレッテル張りの愚かしさ

今日、大邸宅や大勢の使用人、ヨットは、先例を見ない規模で復活している。そして富豪たちのライフスタイルを妨害しそうに見える政策は、ことごとく『社会主義』という轟々の非難に遭遇するハメになる。


ここで「社会主義」という非難に遭遇するハメになると言っているのは、正当に富(ここでは給与報酬・労働分配率のこと)を再分配することは「社会主義」だといって非難されるというわけだ。非難しているのは、誰かといえば富豪たちであり、多くは強欲なウォール街の投資家たちなのではないかな?だけど、ぼくのような労働者からして見れば、「社会主義」的なのは投資家や経営者のほうだろう。一生懸命に働いている労働者たちを低賃金で働かせている投資家や経営者のほうが「社会主義」的ではないかと思う。だれだって、仕事をした分は正当に評価されるべきだし、社会や会社に貢献した分を給与報酬・労働分配として正当に受け取るのは当然のことだ。そうしなければ労働者のモチベーションだって保てない。つまり正当な富の再分配を「社会主義」といって非難しているのは、富豪たちの詭弁に過ぎない。日本では、安倍総理が経団連に賃金引上げ要請するのをみて「国家社会主義者」などと言われているのを見てびっくりした。
つぎに今回の大統領選の話が出てくる。

実際、今回の大統領選でのロムニー候補の選挙運動は、バラク・オバマ大統領による高所得層へのわずかな増税と、数人の銀行家たちの不正な行状への言及が、経済の勢いを削いでいるという前提に基づくものであった。もしそうなら、富豪たちにとってはるかに厳しい環境だった1950年代は、間違いなく経済的危機にあった、ということになるのではないか。


今回の大統領選挙でどういう団体が両候補を応援していたかというと、以下のように真っ二つに分かれるところがおもしろい。
米大統領選と世界の金融規制改革より

オバマ大統領の献金リスト
1.カリフォルニア大学:70万ドル
2.マイクロソフト:54万ドル
3.グーグル:53万ドル
4.ハーバード大学:43万ドル
5.アメリカ政府:40万ドル
ロムニー大統領候補の献金リスト
1.ゴールドマン・サックス:89万ドル
2.バンク・オブ・アメリカ:67万ドル
3.JPモルガン:66万ドル
4.モルガン・スタンレー:65万ドル
5.クレディ・スイス:55万ドル
Source: http://www.opensecrets.org/pres12/contriball.php


「オバマ」vs「ロムニー」というのは、「IT企業」vs「投資銀行」の代理戦争だったのではないかと思える。
なぜこんなことになったかというと、二人の政策の違いがある。
金融業界規制より

オバマ:
無軌道な金融取引の取締と消費者保護を強化したドッド・フランク法(2010年成立)の徹底施行を表明。
ロムニー:
ドッド・フランク法の撤廃を公約。破綻する金融機関解体のための新ルール制定を呼びかけ。


このドット・フランク法というのは、

2010年7月、オバマ大統領の署名により成立した米国の金融規制改革法。上院銀行委員長のクリストファー・ドッドと下院金融サービス委員長のバーニー・フランクの二名の姓を取って通称される。ドッド=フランク法は、1920年代の米国で金融的投機がもたらした世界金融不安および大恐慌の発生を根絶するため成立したグラス=スティーガル法の現代版である。


さらに、このグラス=スティーガル法というのは、ここにあるように経済を金融洪水から守るための、防波堤システムとでも言うべきものだった。
ポール・クルーグマンの著書「さっさと不況を終わらせろ」の「グラス=スティーガル法」について読んで要約すると以下のようになる。

グラス=スティーガル法は銀行が手を出せるリスクの量を制限した。
これは預金保険が成立したので特に不可欠だった。そうでないと、預金保険がすさまじい「モラルハザード」を作り出してしまう。つまり、銀行が何も問いただされずに預金者から大金を調達し ― どうせ政府が保証してくれるんだし ― それをハイリスクハイリターンの投資につぎ込み、勝てば大もうけ、ダメならば納税者が負担と決め込むことが可能になってしまう。そういうわけで、銀行は預金者の資金で博打を打たないように、各種の規制を課せられることになった。最大の点として、預金を集める銀行はすべて、融資だけしか出来ないよう規制された。
(中略)
しかし、ビル・クリントンは大恐慌時代の規制にとどめの一撃を加え、商業銀行と投資銀行を分離するグラス=スティーガル法のルールを排除した(*1)。


つまりロムニー候補支持に多くの金融機関がついたのは、この法律によって銀行は預金者の資金で博打が打てなくなるというわけだ。
オバマ候補にIT企業がついたのはどういう理由かは、ぼくにはわからないがこちらも興味深い。どなたか知っていたら理由をぜひ教えてほしい。

3.経営者が抑圧された時代にも経済成長は達成できた

しかし不思議なことに、フォーチュン誌が1955年に描いた抑圧された企業幹部たちは、不正義に異議を唱えたり、国家への貢献を惜しんだりすることはなかった。フォーチュン誌の記事を信じるなら、彼らはむしろそれまで以上に一生懸命働いた。


ここに出てくる企業幹部というのは現代の企業幹部たちとはだいぶ様相が違う。
昔は、企業幹部といっても、工場だったら開発や製造を社員と一緒にやっていたような、つまりホンダ自動車の本田宗一郎氏のような人たちだったのではないだろうか。
アメリカだったら電機業界の創成期のトーマス・エジソン(GE)やヘンリー・フォード(Ford Motor)ではないだろうか。
いまやそういった気骨のある経営者はいなくなり、創業してから二代目三代目(もちろん世襲とは限らない)が社長の座についていることもざらだろう。以前、同族経営の会社に勤めていたが、息子が社長になったころには、周囲が息子に振り回されて大変な目にあっていたと思う。北朝鮮の世襲を見てもわかるとおり、同族支配というのはろくなことがない。政治家も同じで、現代は世襲議員ばかり。実際に政策の中身で勝負して議員になったわけではない。親(大物政治家)の人気(七光り?)のおかげで議員になっただけ。世襲は議員になれないようにするべきだ。

4.「大圧縮」の時代

第二次大戦後の重税と強い組合の数十年で特記されるのは、広範に分配された目覚しい経済成長に他ならない。1947年から1973年にかけての中間層の家計所得の倍増は、まさに空前絶後の快挙である。

どちらに郷愁を感じるか。


1950年代というのはアメリカにとって、中流階層社会であった。
経済歴史家であるクローディア・ゴールディンとロバート・マーゴは、1920年代から50年代のアメリカで起こった所得格差の縮小、つまり富裕層と労働者階層の格差、そして労働者間の賃金格差が大きく縮小したことを「大圧縮」(The Great Compression)と呼んでいる。
戦後の急成長期(1947~73年)において、典型的な世帯の実質収入は、現代の価値にして22,000ドルから44,000ドルへと、ほぼ倍に跳ね上がっている。これは年率2.7%の成長率である。そしてすべての層の収入も同率で上昇したため、「大圧縮」で達成された比較的平等な収入配分はそのまま維持された(*2)。

一方日本では1956~73年度経済成長率平均9.1%である。
経済成長率推移より
経済成長率推移

1.であげた「所得税の税率構造の推移」を思い出してほしい。昭和49年(1974年)の最高税率は93%もあったのだから。つまり過去のデータから言えば、累進課税が厳しいほど経済が停滞したということはなく、反対に累進課税が厳しく、最高税率が高いほど経済が伸びていた(*3)。
このグラフにあるように

56-73年度 平均 9.1%
74-90年度 平均 4.2%
91-11年度 平均 0.9%


と、経済成長率の平均はさがり、それは「所得税の税率構造の推移」にあるように累進課税の最高税率の低下に連動して下がってきている。つまり両者には相関関係があり、累進課税が厳しいから経済がよくならないなどというのは、富豪たちの詭弁でしかない。2.でふれたポール・クルーグマンが言う「富豪たちにとってはるかに厳しい環境だった1950年代は、間違いなく経済的危機にあった、ということになるのではないか。」という問いの答えは「1950年代の累進課税の厳しい時代の方が経済がより成長した」である。なぜこんなにも減税してしまったのだろうか?それはレーガン時代に、金持ち減税をどんどん富豪たちの都合のよいように進めていったからだ。同じように日本では自民党が金持ち減税をどんどんやっていったからだ。だれでも「減税」という聞こえのいい言葉で、ついうっかりレーガンや自民党に投票してしまったのだろう。だけど「減税」のいちばんの恩恵を受けたのは、1%の富豪たちであり、99%の庶民は関係なかった。そして気がついたら、アメリカも日本も1000兆円もの借金を抱えてしまったというのが現実だ。そして金持ち減税によってたっぷり甘い汁を吸った富豪たちは、その国の借金のつけを99%の庶民に負わせようとしている。そんなこと許されるだろうか?

続きはまた来週。

【Takky@UC】

参考文献
*1:さっさと不況をおわらせろ ポール・クルーグマン
*2:格差は作られた ポール・クルーグマン
*3:富裕層が日本をダメにした! 「金持ちの嘘」にだまされるな 和田秀樹


[編集部より]
この続きは3月11日に公開予定です。
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生活保護を考える

先日労働相談会があって、その中に大阪から東京に来た人がいた。
会社からリストラ強要されていて相談に来ていた。
大阪にはガンの奥さんを残してきたそうだ。
とてもいまの所得では治療していけないと、離婚して生活保護を受けてもらうことにしたそうだ。
二重苦三重苦で本当に気の毒だと思った。

電機業界のリストラは12万人を超えるというし、いつだれが彼と同じような目にあうかわからない。

そうした中で安倍政権は生活保護基準額の大幅な引き下げを行おうとしている。

生活保護引き下げ、受給者以外にも影響 就学援助など

よりどころにするのは、この日公表された生活保護基準と低所得世帯の消費実態を比較した5年に1度の検証結果だ。

 夫婦と子ども1人の3人世帯では、生活保護で支給される生活費(生活扶助)の方が、低所得世帯の消費支出よりも月約1万3千円多い、というものだ。子ども2人の4人世帯では、差は約2万6千円に広がる。


鍋パーティで何度も取り上げているが、生活保護というのは社会のセーフティネットの最後の砦だ。それを受給者が増えているからと、どんどん削っていこうというのは、人の命を削っていくのと同じことではないだろうか?
そもそも生活保護とは、ぎりぎりの生活が出来ればそれでいいというものでない。そんなぎりぎりの生活を続けていって、どうやって生活保護から抜け出せるというのだろうか。この記事にあるように、生活保護を低所得世帯(ワーキングプア)に合わせるというのは、低いほうに合わせているわけで、こんなのを理由に生活保護基準を見直すこと自体おかしい。またワーキングプアは最低生活費以下の収入しかない人たちのことだが、彼らが生活保護を利用するというはなしも聞いたことがない。貧困問題の本質(生活保護、ワーキングプア)を見ないで、生活保護 vs ワーキングプアという貧困対決にすり替えているように見える。
厚生労働大臣は一度生活保護支給額で生活をしてみてはいかがだろうか。

高齢者はともかく、若い世代にとっての生活保護というのは、一生お世話になる制度ではなく一時的にお世話になる制度だから、病気があれば病気を治さなければ働けないし、職業訓練を受けていなければ生活保護水準以上の収入も得られない。
そもそも、生活保護の受給者が増えている原因は、今の日本が激しい競争社会となったことも原因のひとつだろう。
うつ病になったり、リストラされたり、いつ誰がどうなるかわからない。
結局、みんな生活が不安だから、お金を使おうなどとは思わないし、消費しない社会は経済が活性化しない。
安倍政権のインフレターゲット2%というのも、物価だけ上がって生活は苦しいままではなにもお金の回りはよくならない。もうひとつおかしなことは、物価だけ上げて、生活保護基準は引き下げるのでは、受給者の生活をまったく無視している。さらに消費税の増税では目も当てあられない。どうして日本人は同族に対してこんなにも冷たいのかさっぱりよくわからない。アメリカですら餓死したなどというひどい話はないと思うが、日本では北九州市での生活保護を受けられないで餓死した事件に始まり、最近では立川で姉妹が餓死するなど、およそ世界の近代国家では考えられないようなことが起きている。近代国家で国民が餓死するなんていうのは、国として恥じ入るべきことだろう。

なぜこのような事(生活保護を必要な人が受けられない)が起きるかといえば、生活保護を申請するときの窓口での「水際作戦」が、生活保護を申請の敷居(ハードル)をあげているからである。これは不正受給を防ぐことを目的としているが、ケースワーカーひとりあたりの担当する世帯数は100世帯を超えていて、とても適正な対応は無理なのが現状だ。また、不正受給そのものに多くの批判の目が集まっているが、日本の不正受給は件数ベースで2%程度、金額ベースでは0.4%程度である。ケースワーカーひとりが100世帯以上もの担当を抱えていて、この数字はむしろ低いとぼくはとらえる。
生活保護世帯の増加は200万世帯を超えていることから、いかにも財政を圧迫しているような報道がなされている。しかし、生活保護の利用率で見れば違うことがわかる。

*1:
1951年度 人口 8457万人 生活保護利用者 204.6万人 利用率 2.4%
2011年度 人口 1億2700万人 生活保護利用者 205万人 利用率 1.6%

また各国の比較で見ても、日本の利用率 (1.6%,205万人) というのは、ドイツ(9.7%,793.5万人)、イギリス (9.27%,574.5万人) と比較しても低いことがわかる。

生活保護利用率

冒頭で紹介した男性のように、生活保護やワーキングプアは自己責任の問題ではない場合も多くある。誰がいつどういうリスクを負うかわからないから、社会のセーフティネットというものがある。大切なことは、社会全体がリスクを分散させることであって、生活保護やワーキングプアから抜け出せるように、彼らを支えることである。

今回の基準引き下げでは「夫婦と子ども2人の世帯」では14.2%(*2)も生活保護基準が引き下げられることになる。
生活保護を受ける家庭に育てば、貧困からなかなか抜け出せないのでは、その家庭では何世代にもわたって生活保護を受けることになってしまう。貧困の連鎖から抜け出せる仕組みがなければ、国の税収などいつまでたっても上がらない。

【Takky@UC】

参考リンク
*1: Q&A 今、ニッポンの生活保護制度はどうなっているの?
日本弁護士連合会

*2:STOP!生活保護基準引き下げ

参考文献
生活保護 VS ワーキングプア
若者に広がる貧困
大山典宏

[編集部より]
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庶民同士の共食いではなく、富裕層増税を論点に!

1.偏在する日本の富

ここで皆さんに問題です。
Q.日本の個人金融資産の中央値(2人以上世帯)は?

A.
1.  250万円
2.  500万円
3.  750万円
4. 1000万円

さてどれでしょう?
---
ヒント:
日本の個人金融資産は、2011年9月末現在約1471兆円です。この中には約108兆円の公的年金資金も含まれています。確かに巨額ですが、一人当たりにするとどのくらいの金額となるのでしょうか?

ここで一分間考えてから下の答えを見てください。

(一分間考えましたか?)


答え

「少数のお金持ちが・・・・ 偏在する金融資産」

単純に1億2700万人で割ると1人あたり1160万円ほどになりますが、ここでは中央値について考えてみたいと思います。

中央値とは保有額の少ない順(あるいは多い順)に並べたとき、中位(真ん中)に位置する世帯の金融資産保有額のことです。数百億円、数千億円という巨額の金融資産を保有している人たちもいるわけですから(ユニクロの柳井社長の保有金融資産は、なんと約8000億円!)、単純に平均してもあまり意味がないのです。

正解は2番。金融広報中央委員会が実施した調査(2009年)によりますと、金融資産の平均保有額は単身世帯で100万円、2人以上世帯では500万円となっています。

つまり、日本の個々人は、それほど大きな金融資産を持っていないのが現状なのです。また、金融資産をまったく保有していない割合も約22%となっています。どうやら、日本の個人金融資産は、ずいぶんと偏在しているようですね。

・経済学ドリル 洞口勝人より


ちなみに2010年度は2009年度と同じ500万円で、2011年度は420万円に減っています。
あなたはどの程度貯金がありますか?
それでは実際に日本人のお金持ちというのはどの程度いるのでしょうか?
それはこの記事を読むと実態がつかめてきます。

日本の富裕層・超富裕層は81万世帯、うち5億円以上の”超富裕層”は5万世帯

野村総合研究所はこのほど、2011年の純金融資産保有額の世帯数と資産規模の推計結果、および「NRI富裕層アンケート調査」の結果を発表した。

それによると、預貯金や株式、債券などの純金融資産保有額(保有額から負債を差し引いた値)を5つの階層に分類して推計したところ、2011年時点における純金融資産1億円以上5億円未満の「富裕層」、および同5億円以上の「超富裕層」の世帯数は81.0万世帯、純金融資産は188兆円。内訳は、富裕層の世帯数が76万世帯、純金融資産が144兆円、超富裕層の世帯数が5.0万世帯、純金融資産が44兆円となった。
日本の富裕層


日本は約5000万世帯程度と考えると、単純計算で上位1.6%の富裕層が下位98.4%の庶民を搾取している関係が見えてくるのではないでしょうか?
日本の国家予算は約90兆円程度と考えると、彼ら富裕層の純金融資産188兆円というのがいかに大きいのか理解できます。

それでは日本のお金持ちというのは全世界的に見てどの位置にあるのでしょうか。

誤解だらけ! 日本のお金持ち最新事情
会員制高級ホテルの?パーティ潜入でわかった
富裕層大増殖のウソ・ホント

欧州の調査会社のRBCウェルスマネジメントと仏コンサルティング大手のキャップジェミニが公表した「ワールド・ウェルス・レポート(*1)」によると、11年の日本の富裕層人口は前年から8万人増加して約182万人となり、過去最高を記録した。

 日本は世界の富裕層人口1100万人のうち、実に16.6%を占める世界第2位の富裕層大国との評価を海外では受けているのだ。同レポートは、富裕層を自宅不動産、収集品、消費財、耐久消費財以外で、100万ドル(約8000万円)以上の金融資産を所有する人と定義している。

 ちなみに、世界最大の富裕層を抱えるのは米国で、その数は何と300万人を超える。3位以下はドイツ、中国、英国、フランスと主要国が並ぶ結果となった。

 このレポートでもう1つ興味深いのが、日本の富裕層は大半が高齢者で、30歳以下はわずか1%しかいないという点だ。いくら世界第2位のお金持ち大国といっても、これでは「若者貧乏大国」でしかなく、世代間での資産のいびつな偏りは早急に解決すべき課題だ。

国別富裕層人口(*2)
1. 米国 306.8万人:27.9%
2. 日本 182.2万人:16.6%
3. ドイツ 95.1万人:8.6%
4. 中国 56.2万人:5.1%
5. イギリス 44.1万人:4.0%


このレポートが示すように日本は世界でも第二位のお金持ちがいる国です。しかし、そのお金持ちの多くは高齢者です。ということは若者がいくら必死に働いても、それは一握りの年寄りの富裕層にこき使われているだけです。これでは日本の社会は活性化しません。

2.相続税を強化して再分配すべし!

さらに困るのはこうした高齢者の富裕層が多くの財産を自分の子孫に相続させてしまうことです。つまり、裕福な家に生まれれば、親の財産でたいした努力もなく一生楽に暮らせる。その一方で、才能はあるが貧乏な家に生まれてしまえば、食べるためだけに働くことになり、その才能の芽はつぶされてしまう。だれだって親を選んで生まれてくることは出来ません。日本の発展のためには若い人たちが才能を十分発揮できる土台が必要ではないでしょうか。そのためには相続税の強化と教育・医療などへの再分配が必要です。
財務省によれば、相続税 は1兆4,230億円(歳入比1.5%)しかなく、基礎控除の引上げなどの改正や地価の下落により、相続税の負担は大きく軽減されてきており、相続税の負担が生じるケースは、亡くなった方の4%程度です。
日本の富裕層の金融資産188兆円のうち、相続税として国に収められる額というのは、この先いくらくらいになるかといえば、すずめの涙程度でしょう。
勤勉なものが必死に働いて一代で富を築いて他人よりよい生活を送ることはかまいません。しかし、その人が死んでしまえばそうした財産は共同社会に還元して広く再分配するべきです。今の政治家の多くは世襲議員で、そもそもお金持ちの家に生まれています。こんな人たちに、時給1000円とか年収200万円とかで暮らしている人たちの暮らしがよくなるような政策が出来るはずがありません。世襲は議員になれないようにするべきです。

3.アメリカでの富裕層増税の流れ

富裕層に課税すれば、富裕層が日本から逃げ出すという人もいるでしょう。しかし、こうしたことに、国税局もただ黙って見ているということではなく「国外財産調書制度」をつかって課税強化をしてくるでしょう。

先ほどの富裕層人口の一位はアメリカなんですね。アメリカでも非常に大きな格差問題が「ウォール街を占拠せよ(We are the 99%)」運動につながりました。
先日のオバマ大統領の勝利が示すように富裕層への増税が検討されています。

財政の崖:交渉足踏み…米大統領、共和党と隔たり

 「富裕層向けの減税延長打ち切りについては妥協できない」。オバマ大統領は10日、ミシガン州デトロイト市の自動車工場での演説で、改めて共和党が反対する富裕層向け増税の必要性を訴えた


不思議なのは日本ではいっこうに富裕層増税の話が出てこないで、消費税増税だけだということです。日本でも富裕層増税について議論するべきです。

ところでオバマの富裕層増税のきっかけともなった大投資家のウォーレン・バフェットはこんなことを言っています。
「幸運な1%として生まれた人間には、残りの99%の人間のことを考える義務があります」(バフェットの株主総会)
これは彼の哲学なんでしょうね。また彼は、大金持ちの家に生まれたという理由だけで莫大な財産を引き継がせるのは間違っていると考えているようです。

4.富裕層の低い税負担率

給与所得が1500万円くらいの人たちが「所得に多くを課税すると、働く意欲がなくなる」と言いますが、それは現在の税制がおかしいからです。
下にある二つのグラフは、

所得税負担率
申告納税者の所得税負担率(平成19年分)


申告所得に対する税負担率
申告所得に対する税・社会保障負担率

かなり有名なグラフなので、知っている方も多いと思います。
つまり、所得が一億円を越えたあたりから税金の負担率が逆に減ってしまうということです。これでは「富める者はますます富み、貧しき者は持っている物でさえ取り去られるのである(新約聖書マタイ伝13章12節)」というのが現代の税制ではないでしょうか。何でこんなことになるかといえば、給与所得ではなく株とか不動産所得にかかる税金が分離課税になってるからです。こういうのはちゃんと総合所得課税にするべきです。
給与所得が1500万円くらいあると、所得税・住民税と社会保険料等の控除が年額で 450万円以上あるのではないでしょうか。これでは相当な重税感があって当然です。つまりは所得が一億円以上ある富裕層の税金を肩代わりされいるのと同じではないでしょうか?
しかし、実際にネットの掲示板での税制論争の中心は、このようないびつな税制問題が論点となることはなく、公務員たたきや生活保護たたきです。
今まであげてきた事実を知らないで、年収2000万以下の庶民同士が「共食い」とも言える税制論争に明け暮れているわけです。おかしなことだと思いませんか?
もちろん、これは貧乏人は税金を払わなくていいとか言っているわけではないです。 税金はみんなで各自の能力に応じて負担するべきです。富裕層のみが税負担をすれば、富裕層のみの発言力が政治や社会で支配的になるという問題点があります。「みんなで分かち合う」部分もあれば、「国民全員が主人公」という意識が生まれやすくなります。

2012年も終わりますが、日本という一つ屋根の下に住んでいるわけですから、だれもが幸せに暮らせることを望んでいるはずです。
日本が今まで築いてきた本来の力を取り戻すためにも、公平・公正な税制と強力な再分配が必要です。
2013年はより多くの方が鍋パーティ運動に参加されることを願っています。

それでは皆様よいお年を。

【Takky@UC】

*1:ワールド・ウェルス・レポート 2011 - 三菱UFJメリルリンチPB証券

*2:週間ダイヤモンド 特大号 2012 10/20
「富裕層のカネと知恵」

[編集部より]
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2012年度の犯罪白書からセーフティネットの必要性を考える

先日私のMixiの友人経由で知ったのですが、2012年度の犯罪白書が公開されました。
この白書について朝日新聞は
「仕事なければ、再犯率5倍 11年、過去最高の再犯率」
また、毎日新聞では
「犯罪白書:検挙16%が高齢者 「暴行」増加、過去最悪に--12年版」
という報道がなされています。
報道の詳細については各々のリンクを確認頂きたいのですが、法務省のHPから白書の内容は確認することが出来ます。

今回はこの白書を読み込んでみようと言うことです。
しかし大部ですので、このブログに関係するところ、具体的には上掲2紙の指摘する部分を読み込んでいきたいと思います。
とはいえ議論の前提として現在の犯罪傾向は見る必要があるでしょう。
同書は


刑法犯の認知件数は,平成8 年から毎年戦後最多を更新し,14年に369万3,928件を記録したが,15 年から減少に転じて,23 年は213 万9,725 件(前年比13 万1,584 件(5.8%)減)まで減少した。最近の認知件数の減少は,例年,刑法犯の過半数を占めてきた窃盗の認知件数が15年から毎年減少したことが大きな要因となっている。また,窃盗を除く一般刑法犯(刑法犯全体から自動車運転過失致死傷等を除いたもの)の認知件数も,16年まで増加を続けていた後,減少に転じているが,20年前の約1.6倍の水準にある。
刑法犯の検挙人員は,平成10年に100万人を超え,11年から毎年戦後最多を更新し,16年に128万9,416人を記録した後,17年から減少に転じて,23年は98万6,068人(前年比4 万3,049人(4.2%)減)まで減少し,100万人を下回った。
(中略)
最近は,全般的に高年齢化が進み,特に,60歳以上の者の構成比は,昭和57年には3.5% (1 万5,363人)であったのに対し,平成23年には,22.9%(7 万83人)まで上昇し,65歳 以上の高齢者が15.9%(4 万8,637人)を占めている。
(第1編 犯罪の動向1 刑法犯(1)認知件数・検挙人員)

人が被害者となった一般刑法犯の認知件数及び被害発生率は,いずれも,平成15年以降, 減少・低下している。男子の被害発生率は,女子の2 倍以上である。
一般刑法犯による死傷者総数は,平成17年から7 年連続で減少している。死傷者中に女子が占める比率は,3 割前後である。
財産犯(強盗,窃盗,詐欺,恐喝,横領及び遺失物等横領)の認知件数及び被害総額は,平成15年から減少していたが,23年は,被害総額が前年から若干増加した。
強姦及び強制わいせつによる女子の被害は,平成16年以降,認知件数・被害発生率ともおおむね減少・低下している。
(第5編 犯罪被害者1 統計上の犯罪被害者)


これらを読むと「刑法犯の認知件数は,平成8 年から毎年戦後最多を更新」したが「平成15年から減少に転じている」こと、被害者という観点からは「死傷者が出るいわゆる凶悪犯罪は減少の傾向にあるが、財産犯は増加した。しかし若干の増加に止まっている」ということがわかります。
刑の厳罰化の潮流があり、その影響で減少したと言えなくもないのですがどうもそれだけではないようです。むしろ凶悪犯のカテゴリーに入らない財産犯が微増していると言うことは犯罪の原因の大きな要素に景気があり、昨今の経済状況が犯罪に反映しているとも言えるのではないでしょうか。
また高齢者の割合が増加していることは言うまでもないことですが我が国の急速な高齢化が大きな原因であることは言うまでもありません。

それでは上掲朝日新聞の指摘する「過去最高の再犯率」についてはどうでしょうか?

一般刑法犯により検挙された者のうち,再犯者の人員は,平成9 年から増加し続けていたが,19年からは5 年連続で若干減少し,23年は13万3,724人(前年比2.8%減)であった。
再犯者率は,9 年から一貫して上昇し続け,23年は43.8%(同1.1pt 上昇)であった。
(中略)
入所受刑者のうち,再入者の人員は,平成11年から毎年増加した後,19年からはほぼ横ばい状態にあったが,23年は1 万4,634人であった。再入者率は,16年から毎年上昇し続けており,23年は57.4%であった。
女子について見ると,再入者の人員は,平成12年以降,増加傾向にあり,23年は914人であった。再入者率は41.1%と男子(59.0%)より低いが,17年からは毎年上昇し続けている。
有保護処分歴者の占める割合は,初入者,再入者ともに,若い年齢層の者ほど高い。どの年齢層においても再入者は,初入者と比べて有保護処分歴者の割合が高いが,特に,29歳以下の若年の再入者では,約6 割の者に保護処分歴がある。また,保護処分歴の中でも,ほぼ全ての年齢層において,少年院送致歴のある者の割合が高く,その傾向は再入者において顕著である。
平成14年及び19年の出所受刑者について,出所年を含む5 年又は10年の間,各年の年末までに再入所した者の累積再入率を出所事由別(満期釈放又は仮釈放の別)に比較すると,満期釈放者は,仮釈放者よりも累積再入率は相当高い。14年の出所受刑者について見ると,10年内の累積再入率は,満期釈放者では62.5%,仮釈放者では40.7%であるが,5 年内に再入所した者は,それぞれ,10年内に再入所した者の90.6%,82.0%を占めている。入所度数別に比較すると,入所度数が多いほど累積再入率は高く,特に入所度数が1 度の者と2 度の者の差は顕著であり,2 度以上の者は,おおむね半数を超える者(約55%)が5 年内に再入所し,入所度数を重ねるに従って,改善更生の困難さが増していくことがうかがわれる。
(第4編 各種犯罪者の動向と処遇 6 再犯者)


ここを読むと、若年層で犯罪加害者に一旦陥ってしまうと、再犯率が高くなる。また、仮釈放という手段で早く社会復帰への道筋が付いた方が刑期一杯まで服役した者よりも再犯率が低い(朝日新聞とはあえて逆の言い方をすればですが)。そして、社会と隔離される機会が増えるほど更正するのが難しくなっていくということです。
実際、雇用する側としても有効求人率が1を下回っている状況下であえて犯罪歴のある人間を雇用するとすれば、白書にも指摘がありますが、雇用主の半数以上が国に対し「「出所者の身元保証」,「住居の確保」及び「出所者への相談・助言」」を求めているような手厚い国のフォローが必要だと言うことでしょう。しかし、そのような援助を国がするのであれば行政の肥大を招くことは必定であり、現在の憲法上認められた権利である生活保護でさえバッシングするようなこの社会ではとうてい受けいれられることはないのでしょう。

引き続き毎日新聞が指摘する「検挙16%が高齢者」という点はどうでしょう。

高齢者の検挙人員は,他の年齢層の者とは異なり,増加傾向が著しく,平成23年は,4 年の検挙人員の約6.3倍となっている。これを人口比の推移で見ると,高齢者の一般刑法犯検挙人員の人口比は,他の年齢層より相対的に低いが,平成4 年との比較で,23年の人口比の伸び率を見ると,20~29歳で約1.1倍,30~39歳で約1.4倍,40~49歳で約1.3倍,50~64歳で約1.7倍に上昇している一方,高齢者では約3.4倍にまで上昇しており,最近の高齢犯罪者の増加の勢いは,高齢者人口の増加をはるかに上回っている。
(中略)
一般刑法犯全体と比べて,高齢者では窃盗の割合が高いが,特に女子では,91.9%が窃盗であり,しかも万引きによる者が80.8%と際立って高い。
高齢者の一般刑法犯検挙人員の大半を占める窃盗において,この20年間で検挙人員の増加が認められるが,さらに,重大事犯である殺人及び強盗,粗暴犯である傷害及び暴行においても検挙人員が増加している。
高齢者の入所受刑者人員は,最近20年間,ほぼ一貫して増加傾向にあり,また,入所受刑者全体と比べて,再入者(受刑のため刑事施設に入所するのが2 度以上の者)の割合が高いが,20年前と比べて初入者(受刑のため刑事施設に入所するのが初めての者)も著しく増加している。
高齢者の保護観察開始人員も,増加傾向にある。なお,高齢者の仮釈放率(平成23 年は31.3%)は,出所受刑者全体の仮釈放率(同51.2%)と比べて低い。高齢者では,引受人がいないなど,釈放後の帰住先が確保できない者が多いことなどによると考えられる。
(第4編 各種犯罪者の動向と処遇 4 高齢犯罪者)


高齢者の増加により高齢者の犯罪が増加するのは当然と言えるのですが、問題はその犯行の殆ど(と言って良いでしょう)が窃盗などの財産犯であること、また、高齢者の性質上釈放後の生活拠点を確保するのが困難であることが高齢者の再犯率を高めていると言うことが以上より読めます。高齢者の再就職という問題になると思うのですが、この点については若年者層の議論に加え、同人が高齢者であり、また、場合によっては同人に病気など身体的な問題を抱えることも多く、さらに事態を悪化させているように見えます。
さらに我が国ではまだまだ前科者に対する社会、身内の拒否感は高いことを考えれば生活保護という最後の手段を取ることを躊躇することになり(親族にこれ以上迷惑はかけたくない)、「飢えて死ぬぐらいなら、万引きでもやって刑務所に入所した方が雨風しのげて三食食べることが出来る」とさらなる犯行に手を染めようと考えてもおかしくないでしょうし、それがさらに事態の悪化を招いているように思えます。
同書は言います。

ここ数年,満期釈放者の割合が50%前後で推移し,そのうち帰住先がないまま釈放となっている者が多く,さらに,刑務所への再入者における無職者の割合が高い。また,高齢者の仮釈放率は,出所受刑者全体と比べて低く,高齢者に帰住先のない者が多いことがうかがえる。刑務所出所者等の再犯については,仕事や住居や相談相手がない状況で引き起こされているケースが多く,刑務所出所者等の仕事や住居等の生活基盤を整えて円滑な社会生活への移行を促進することが社会復帰への鍵となる。
(第7 編 刑務所出所者等の社会復帰支援 1 はじめに 2 再犯防止・改善更生のための社会復帰支援策と民間の協力・参加)


ここで少し古い白書ですが2008年版犯罪白書特集『高齢犯罪者の実態と処遇』は、高齢者の犯罪について特集を設けています。
同白書によれば

高齢犯罪者がこのように増加している理由は何であろうか。現在の我が国では,高齢者の平均寿命が延び,また,高齢者人口も急激に増加していて,社会の高齢化が急速に進んでいる。
そして,現在の高齢犯罪者を取り巻く環境に目を向けてみると,高齢犯罪者の犯罪性が進むにつれ,住居が不安定になるとともに,配偶者がなく,単身生活の者が増えている。これらの者は,親族との関係も希薄である。このように,犯罪性の進んだ高齢犯罪者は,孤独な生活状況に陥っており,周囲から隔絶されている状況がうかがわれる。犯罪性が進んだ高齢犯罪者には,犯罪に結び付きやすい物質依存関連疾患にり患した経歴を有する者の比率が高いが,このような問題について福祉的なサポートを受けないままでいる者が少なくないこともうかがわれる。
就労状況,収入源等の経済状況についても,犯罪性が進むにつれ,就労の安定しない者,低収入の者の比率が上昇しており,また,生活保護などの福祉的支援を受けないまま無収入でいる者の比率も大幅に上昇している。経済的に不安定な状態に置かれて,生活に困窮していることから,更に犯罪の危険性が高まっているといえる。


この問題はそれ以外の層についても同じことが言えるのではないでしょうか。
2012年度の犯罪白書はこの点を「満期釈放者で,出所の際に適当な帰住先を持たない者は,出所してから数箇月の再犯リスクが高いことがうかがわれる。刑務所出所者等の帰住先を確保し,あるいは,適切な福祉的支援により生活環境を整えることは,重要な課題の一つといえる」と指摘するのですが、結局は安定した生活環境・勤労環境の整備が再犯リスクを下げ、社会のリスクを結果として下げると言うことなのではないでしょうか。

そして、本文では引用しませんでしたが、所謂高齢者の凶悪犯罪には配偶者・親族の「介護疲れ」や、病気の子どもの将来を悲観して殺人を起こしてしまう場合、満足な支援を受けることが出来なかったが故の親の虐待による子供の死亡という問題ももちろんあって、これらを予防していくためには「刑の厳罰化」なんて殆ど効果がないと考えるしかなく、この手の犯罪を防止するには生活保障をきちんとすることが一番なのだと言わざるを得ません。
生活保護よりも最低時給が低いことが問題という意見も一理あるとは思いますが、生活保障の観点からいえば、今俎上に載っている「生活保護の引き下げ」なんて治安の点から見ても下の下策でしょう。これで治安が悪化すれば警官を増員して事に当たるということになりそのコストは結果として国民の負担に反映することになります。その結果一人あたりの生活保護費受給額と警官の給与を比較すると結果としてコスト高ということになりかねません。
今年6月に大阪市でおきた無差別通り魔事件では、出所したばかりの人間が生活に困り自暴自棄となり起こした犯罪です。被害者からみれば、自分や家族が殺されるくらいなら、生活保護や就職支援をして、刃が自分や家族に向かわないようにしてくれたほうが良かったでしょう。そして、いつ誰がこのような同じ目にあうかわかりません。死にたい人間には死刑も抑止力にならないことがあります。

そして、最低時給の引き上げなどもワーキングプアを減らすことで潜在的な犯罪者を減らすことが出来るわけですから、治安に寄与することに結果としてなり安心できる社会を作るということもできるわけです。
いまの生活保障を巡る議論の多くは賃金と生活保護給付の引き下げ合戦であって、これではどのような結果が出るにしても社会が不安定になってしまうように思えてなりません。
なお、生活保護受給者に限らず所謂低所得者層は消費性向性が高所得者に比べると高いこともあり、彼等に安定した収入があることは景気を下支えする効果もあり、また、所得税の負担は少ないかもしれませんが、その一方で平等に課税される消費税という観点からすれば、消費税自体の逆進性という性質からしても、税収の安定を見込むことも出来るとさえいえることを付言しておきます。

【kodebuya】

・参考過去エントリ
生活保護バッシング その1
生活保護バッシング その2

・署名のお願い
生活保護基準引き下げに反対する署名にご協力お願いします。 ここのリンクの一番下からネットで署名できます。
STOP!生活保護基準引き下げ

[編集部より]
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テーマ : 生活保護
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